避妊と去勢
メスの避妊手術
初発情のあとに
繁殖の意志がない場合は、避妊手術が必要です。
日照時間や気温の変化から四季を感じとりにくい室内飼いの猫は、四季を通してランダムに発情します。
昼夜を問わず独特の鳴き声で鳴き、外にでたがります。
体をしきりにこすりつけ、ころげまわり・妊娠の心配はなくても、かなり大変です。
生後6ヵ月から、おそくとも12ヵ月ではじめての発情がきます。
初発情のあとの避妊手術が理想的です。
手術は、腹部を切開し、子宮と卵巣を摘出します。
手術時間や入院期間、料金は、猫の状態や病院によって異なります。
事前に確認し、予約を入れます。

オスの去勢手術
生後1年をめどに
成熟したオス猫は、縄張りを誇示するために、尿を吹きつけるスプレー行為「マーキング」をするようになります。
室内飼いでも、縄張り争いをする相手の有無にかかわらず、家具や玄関などあちこちにマーキングします。
放し飼いの猫の場合は、放浪とケガが続き、感染症の危険も高くなります。
本能なので、去勢手術をしないかぎりやめさせることはできません。
オスは一般的に性的な成熟が遅いので、生後1年くらいをめどに去勢手術をします。
早すぎると、ホルモン失調から、皮膚病にかかったり、成長阻害が表れたりします。
手術は、精巣摘出で、時間は5~10分。日帰りですみます。

手術後は肥満に注意
●肥満の発生率は、避妊・去勢手術をした猫は、しない猫の約2倍になります。
女性ホルモンは食欲の抑制、男性ホルモンはエネルギー効率をよくする働きがあるからです。
活発さがなくなり運動量が減るため、一度肥満になるとダイエットは飼い主も猫も大変です。
オスとメスでは、オス猫の方が肥満になる確立がやや高いようです。
避妊・去勢後は、食事管理に気をつけ、とくにオス猫は運動不足にならないよう心がけてあげましょう。

去勢手術のあと
●去勢をすることによって、性格や体格が微妙に変化することがあります。
成猫になる前に去勢すると、オスらしさがくなり、おとなしい猫になります。
体格もオス独特のがっちり感や、頬の張りが目立たなくなります。
去勢をしてもオスとしての本能が完全になくなるわけではないので、1~2割はマーキングの行為が残り、メス猫に興奮す ることがあります。
これは、母猫の胎内 にいる間、テストステロンというホルモンで脳がある程度発達しているためです。

繁殖シーズン
●繁殖シーズンは秋から春にかけての約半年。
野良猫や放し飼いの猫たちは、日照時間や気温の変化を敏感に感じとって発情します。
猫は多発発情型で、繁殖シーズンに何度か、2~3週間の周期で発情します。
性的に成熟したメス猫は、オス猫を呼び寄せる独特の鳴き声をだし、オスたちは1匹のメスをめぐって戦います。
1回の発情期間は、交尾がなければ10日ほど続きます。
交尾の選択権はメスにあり、交尾をすれば1~2日で排卵があり、発情は終ります。

●スプレー、ツメとぎでマーキングし、外に出たがります。
●メスはごろごろ、にゃあにゃあ…発情して切なく鳴き続けます。

妊娠と出産
妊娠中の母猫のケア
妊娠と体の変化
猫の妊娠期間は、およそ9週間。
平均して65日です。
人の妊娠、出産と同じで、2~3日早くなったり、遅くなったりすることはあります。
交配後2~3週目ころ:
体重が少しずつ増え、3週目には乳房がふくらんでピンク色になってきます。
食欲旺盛になり、なんでも食べるようになります。

4週目ころ:
お腹がふっくらして、外見からも妊娠がわかるようになります。
このころにもし発情が始まれば、受胎はしておらず、これまでの兆候はいわゆる猫の想像妊娠。
室内飼いの猫や避妊済みの猫でも、ホルモンのアンバランスから起こることがあります。

5週目ころ:
流産しやすい時期でもあるので、ほかの動物や猫と複数で飼っている場合は専用のスペースを確保して、静かに過ごせる工夫をしてあげましょう。

7週目以降:
下腹部のふくらみも大きくなり、安定期に入ります。
動きも緩慢になり、体型もどっしりしてきます。
お産をする場所を探し始め、室内をうろうろするようになります。
早めに産室の準備をしてあげると落ち着きます。
押し入れの中や部屋の隅、机の下など、静かで薄暗いところが安心します。
とくに小さな子どものいる家庭は、出入りの少ない落ち着ける場所を選んであげてください。

●猫がゆったり横になれる広さ、前足を立てて座れる高さ
市販の産室もありますが、段ボール箱でもかんたんに作れます。
「準備するもの」
1. 猫がゆったり横になれる広さと、前足を立てて座れるくらいの高さの段ボール箱(60×70×60cmくらい)。

2. 中に敷くビニール、それまで使っていた寝具、タオルや布2~3枚。

[作り方] 1. 箱の底部をガムテープでふさぎ、上部を切り離してフタにします。

2. 箱の狭いほうの面を正面にし、出入口をカットします。
生まれた子猫が出てしまわないように、出入口は底面まで切らずに、箱のヘリから30cm×30cmほどの大きさにします。

3. 底に古シーツや毛布を敷いて寝ごこちよくし、完成です。
母猫が産室に慣れ、落ち着いて寝るようになったら、食事や水、トイレも近くに移動して、静かに1日を過ごさせます。
時間帯や母猫の精神状態によっては、フタをして暗くすると安心します。

●出産後、血液などで汚れた敷物の交換や洗濯は大変です。
専用の敷物を作っておくと便利です。

[作り方] 1. 古シーツを袋状(幅約45×縦80~90cm)に縫います。
タオル地は子猫のツメがひっかかるので、綿布が向いています。

2. ふたつ折りの新聞紙を中に入れます。

3. これを4~5枚用意して産室に敷き、出産などで汚れたら、そのつど引きだします。

・妊娠中の食事と環境
ストレスは禁物。
充分な栄養と、清潔で快適な環境が必要なのは、猫も人もまったく同じです。
ふだんの倍近く食べる猫もいます。
消化不良を起こさないように、栄養価の高い食事を3~4回に分けて与え、消化器や体の負担を軽くしてあげましょう。
ミルクやチーズなどのカルシウムは通常の2~3倍、良質なタンパク質中心の、脂肪分はややひかえめの食事を。
妊娠中の猫はとてもデリケートです。
猫も人も、それまでの生活のペースを崩さないように心がけましょう。
とくに出産間近になると、精神的にも不安定になります。
今まで以上にやさしい言葉をかけ、はげましてあげてください。

妊娠中の定期検診
妊娠3週目ころには、獣医師の触診で胎児の確認ができます。
8週目には、レントゲン検査で胎児の大きさや数も確認できるようになります。
猫のお腹はとてもデリケートです。
触ったり押したりは、流産や死産の危険があるので、獣医師におまかせしましょう。
妊娠中、下痢や嘔吐、出血などがあった場合は、ただちに獣医師に連絡します。
順調であれば、定期的な経過報告をし、そのつど適切なアドバイスを受けるようにしてください。

安全、安心な出産
陣痛開始前後
出産まぎわは、母猫の落ち着きがなくなり鳴いたり、ごそごそ動き回ったります。
そんなときこそ飼い主は落ち着いて、声をかけながら静かに見守ってあげましょう。
猫の出産は、夜中から3時ころに始まることが多いです。
破水したら、いよいよ出産開始です。
難産の場合を考え、陣痛開始ごろには獣医師への電話連絡をしておきます。

子猫が生まれるまで
陣痛が始まって30~60分したころから、子猫が1匹ずつ生まれてきます。
平均して4~5匹の子猫が生まれます。
生まれる間隔は5~60分と一定せず、出産全体の時間も猫によって、また状況によってまちまちです。
1匹生まれると、母猫はそのつど子猫を包んでいる胎膜をなめとり、へその緒を噛み切ります。
子猫はこれらの刺激で呼吸をはじめます。
最後の1匹が生まれるまで、これを繰り返して出産は終了します。
猫の場合、足から出てくる逆子もしばしばありますが、母猫が元気であれば心配いりません。
出産がすべて終るまで、母猫に触ったり刺激せずに、静かに見守ります。

★母猫が生まれた子猫の処置をし終えたら、乳首につけずに、出産がすべて終るまで20~30°くらいの温かい保管場所に子猫を移しておくと、順語に出産が進みます。

●母猫は横になって授乳します。乳首は4対あり、子猫たちは自分が吸う乳首を自分で決めます。

トラブル発生の場合
・あわてず、落ち着いて対処する
猫のお産は安産であることがほとんどで、はじめての出産でもたいていの猫はひとりで無事やりとげます。
体の一部が出たままなかなか出てこない場合、逆子による難産、陣痛が弱まってしまうケースなどは、とにかくあわてずに、母猫をやさしくはげましながら、落ち着いた対処が必要です。

“もしも、胎児が途中でつかえたら
出ている部分の子猫の体をガーゼなどで軽く包み、母猫のいきみに合わせて、ゆっくりとお腹側に曲げるように引っ張ります。
いきみのタイミングは、母猫のお腹の動きがとまりかかって、体をかたく緊張させているときです。
強い陣痛が続いているのに30分以上たっても生まれない場合は、骨盤につかえていることが考えられるので、獣医師の処置を受けるようにします。

もしも、陣痛が弱まってしまったら
出産の途中で陣痛が弱くなることがあります。
母猫が緊張しすぎていたり、なにかしらの異常が考えられます。
出産の間隔が2~3時間空いたり、母猫が弱ってくるようであれば、獣医師に連絡します。

★出産が長引き、母猫に疲労がみられるときは、ハチミツ(日本薬局方のもの)を上あごにつけてなめさせるといいでしょう。

●胎盤、へその緒の処置をする
出産で精一杯で、母猫が生まれた子猫の世話をしないことが稀にあります。
そんなときは、あわてずに、手順よく助産婦さんをつとめます。

[準備するもの] 消毒したハサミ、ガーゼ、ぬるま湯、洗面器

[手順] 1. かぶっている胎盤をツメで破り、そっと手で取り除きます。

2. 子猫のおへそから3cmのところでへその緒を指で強くつまみ、ハサミで切ります。
へその緒や切り離された胎盤側からの出血がありますが、あわてないでください。

3. 口の中の羊水をガーゼで吸い取ります。

4. 子猫が息をしないようなら、頭を指先側にして両手に包み、軽く上下に振って刺激します。
鼻や口につまっている羊水を、遠心力で出す要領です。
子猫の体についているぬるぬるを、ぬるま湯でしぼったガーゼで拭いてきれいにします。
産湯は不要です。
出産が続く間、生まれた子猫は母猫から離し、25~26°くらいの温度を保っておきます。

●お乳を飲めなかった場合
目の見えない生まれたばかりの子猫は、母猫のごろごろいう振動で、乳首を探し当てます。
子猫が母乳を飲みながらごろごろいうのを聞いて、母猫も授乳を確認します。
母猫が緊張していたり、子猫が弱っていて授乳がスムーズに行われなさそうなときは、獣医師に連絡して指示を仰ぎます。
場合によっては、人工哺乳をしなければならないこともあります。

便秘・食欲不振を引き起こす毛球症の治療と予防
Q1.
食欲もあり元気ですが、猫に野菜は必要ですか?

A1.
栄養的には野菜は必要ではありませんが、適量の野菜は腸の働きを活発にし、整腸・便秘予防の効果があります。
子猫のときから、少量ずつ食事に混ぜて、味に慣れさせておくとよいでしょう。
[与え方] 1. キャベツ・プロッコリー・カリフラワーの芯などを、よく湯がいてみじん切りにします。

2.週1回の量として、子猫には大さじ1、成猫には大さじ2を、食事の回数に分けて適宜混ぜます。

Q2.
食欲がなく、便秘ぎみです。

A2.
猫はもともと便秘しがちです。
とくに老猫は、消化力の衰えと運動不足から便秘が多くなります。
また、毛球症といって、グルーミングで飲み込んだ毛が胃の入口に詰まって食欲不振になったり、腸でポール状に固まって便秘になることがあります。
以下の食事は、便秘治療、毛球症とその予防に効果的です。

「与え方」
1日1回、食事に良質なサラダオイルと無塩トマトジュースの2つを混ぜます。
サラダオイル:子猫は小さじ1/2、成猫は小さじ1
無塩トマトジュース:子猫は大さじ1/2、成猫は大さじ1

★便が軟らかくなって排便ができても、2~3日続けます。
とくに慢性の便秘になりやすい老猫は、定期的に与えるとよいでしょう。

★無塩トマトジュースは植物性の酸で、尿道結石を起こすアルカリ性の結石を溶かす働きもあり、腎臓結石にも有効です。
毎日与えてもかまいません。

★サラダオイルのほか、無塩バターやマーガリンをなめさせてもよいでしょう。