マッサージで癒される

たいていのネコはそうだと思うのですがネコは、なでてほしいときしか寄ってきません。

それ以外のときに触ると、複雑な顔をして、目線を合わせようとしません。

「なんだよ、素っ気ないなぁ~」と思うのですが、その分、甘えてきたときはたっぷりかわいがってあげます。

あぐらで足を組んだ中に丸まってゴロゴロ・・・・といっているのを見ているだけで、こちらも癒されます。

このように、マッサージは、ネコだけでなく、飼い主さんにも精神的癒しを与えてくれます。

もちろん、そのリラックスが、ネコの免疫力を高めたりなどのトータル・ヘルス・ケアに欠かせないものです。

さらに、体に触れることで「異常」の早期発見にもつながります。

飼い主さんとの関係がもっと親密なものとなります。

たかがマッサージですが、こんなにメリットがあるのです。

 

(東京都国分寺市の佐藤さん)

うちのクロは、オドオドする性格で、ずっと勝胱炎が治らず、困っていました。

私自身もマイナス思考になりやすいたちなのですが、近所でお祭りがあってにぎやかだったり、花火大会があったり、選挙カーが通ったりすると、決まって血尿を出すような神経質なネコです。

また、私が会社で嫌なことがあったり、プライベートでいろいろあったりすると、クロのトイレの砂にちょっと赤いものがついていたりするのです。

薬を飲んだり、サプリメントも試しましたが、なかなか治らず、仕方ないのかなと諦めていました。

そんなとき、マッサージの仕方を教えてもらう機会があり、それから毎日マッサージをするようになりました。

そうしたところ、親バカかもしれませんが、なんかクロの気持ちがわかるようになってきた気がするのです。

どこをなでてほしいか、どんな風にしてほしいか、ということを敏感に感じます。

逆に私がちょっと落ち込んでいると、ザラザラした舌でペロペロ舐めてくれたりするようになったのです。

そうこうしているうちに、クロが落ち着いてきました。

また、花火大会があったのですが、なんと今回は、血尿が出ませんでした。

なぜかはわかりませんが、クロはマッサージをしてから心が落ち着いてきました。

と同時に、私自身もいろいろなことがあっても受け流すことができるようになってきました。

 

あなたもぜひ、至福のリラックスタイムを過ごしてみてください。

 

レッツ! マッサージ

ネコのマッサージで一番大切なことは何でしょう?

「手順」でしょうか?

「ツボの位置」しょうか?

それとも「指圧の強さ」でしょうか?

確かにこれらのことは大切かもしれませんが、「飼い主さんとネコちゃんが、お互いにリラックスしてマッサージをすること」こそが、1番大切なことだと思います。

ネコは、飼い主さんの精神状態を敏感に察知します。

飼い主さんが緊張していたり、不安だったりすると、ネコは嫌がって、飼い主さんに近づかないこともあります。

マッサージというと、手順やツボなどが気になる方が多いようですが、あまり細かいことを気にせず、飼い主さん自身が楽しんで、気楽な気分でやってあげるのが一番です。

自然界でネコたちは、お互いが触れあう相互グルーミングで、リラックスし、癒されています。

その際「この子は腎臓が弱っているみたいだから骨部を刺激してあげよう」なんて考えるネコはいません。

むずかしく考えずに、時間のあるときに、積極的にマッサージしてあげるようにしましょう。

 

マッサージをすると、どんなよいことがあるのでしょうか。

第一に、血行がよくなり、老廃物の排泄が促進されます。

また、循環がよくなることで、とり込んだ栄養が体の隅々にまでいきわたるのを助けてくれます。

筋肉のコリや緊張もほぐしてくれますし、日常的にネコの体に触れることで、皮膚の表面や皮膚内の異常、全身の変調などの早期発見につながります。

また、普段から人に触られることに慣れていると、動物病院での診察、グルーミングなどを、スムーズに行うこともできます。

愛情をもってネコに触れることで、飼い主さんとネコとの間に絆ができ、ネコの性格も穏やかになるでしょう。

では、いつ、どこで、どれくらいの時間、マッサージしたらいいのでしょうか。

飼い主さんの膝の上が好きな子、日のあたる出窓が好きな子、棚がお気に入りの子、椅子の上が好きな子など、ネコによって好きな場所はいろいろですから、マッサージをする場所は、ネコちゃんと飼い主さんがお互いにリラックスできるところならどこでもかまいません。

「お互いに」というところがポイントで、ネコがどんなに心地よくても、あなたが辛い姿勢で続けなければいけないようならば、場所を変更したほうがいいでしょう。

一般に、ネコは静かで暖かい場所を好む傾向が強いようです。

時期についても、「飼い主さんとネコのタイミングが合ったとき」と考えてください。

「お互いに心地よく続けられる場所と時期」が一番なのです。

マッサージの時間は2~3分でも、1時間でもいいのです。

「お互いが心地よく感じる範囲」で続けましょう。

ほんの数分なでたところで、ネコに立ち去られてしまうと、さびしく感じる飼い主さんもいますが、そのネコは、ほんの数分で満足したのかもしれませんし、「今」はマッサージに興味がもてないのかもしれません。

そんなときに無理に続けようとすると、「こいつ、嫌なことするからキライ!」と、ネコは飼い主さんを避けるようになってしまうでしょう。

 

また、人に触れられることを嫌がるネコもいます。

人に触れられるのに慣れていないネコの場合、マッサージされることに、強い不安を感じているのかもしれません。

あまり深追いせずに、少しずつ触れられることに慣らしていきましょう。

お互いの信頼関係ができ、ネコがあなたを受けいれてくれるようになれば、あなたが触れることも受けいれてくれるでしょうし、なでられることも喜んでくれるはずです。

あせらずに進めることが大切です。

マッサージをするための決まった時間をつくるのではなく、気が向いたときに気楽に考え、「週に一度くらいタイミングが合えばいいかな?」くらいの気持ちで続けることが長続きの秘訣だと思います。

 

 

マッサージのすすめ方

ネコは飼い主さんと会話をすることはできませんが、いろいろなことを感じとる能力があります。

だから、マッサージのテクニックがどんなに素晴らしくても、イライラしているなど、精神的な影響力がゼロだったら、出てくる結果はゼロということです。

ですから、テクニックの効果を最大限にするためにも、飼い主さんとネコがゆったりリラックスすることが大切なのです。

 

1.飼い主さんがリラックス

・ネコに触れながら、楽な姿勢ですわる

・お腹をへこましながら、息を吐ききる

・お腹をふくらましながら、ゆっくりと息を吸い、その倍の時間をかけてゆっくり吐く

・まぶたを軽く閉じて、ゆっくり息を吐きながら、「10……」、息をゆっくり吸って、またゆっくり吐きながら「9…」と、10から1までカウントダウンする

・目を閉じたまま「今までで一番楽しかった思い出」「今までで一番感動した光景」を思い出す

・足先が冷たかったら、足先を3回くらいすりあわせて、温める。

 

2.ネコちゃんもリラックス

・頭から背中、尾にかけて、毛並みに沿ってゆっくりなでる。

はじめは軽くゆっくり、そして徐々に力を強めていく。

このときに、指先だけでなでるのと、手のひら全体でなでるのと、どちらが気持ちよさそうかを観察し、心地よさそうな方法でマッサージを続ける

・体の両脇を、首からしっぽに向かって指で押す

 

3.ネコが触れてほしいところをマッサージ

・触って喜ぶところ(あごの下や、類、耳の下、頭頂部、首、しっぽの付け根など)をやさしくなでる

 

4胸とお腹のマッサージ

・胸からお腹にかけて、やさしくなでる

・お腹を背骨のほうに向けて軽く押しあげて、パッと手を離す

 

5.四肢のマッサージ

・足首から胴体に向かってマッサージ

・脚の筋肉を筋維に沿ってもむ

・脚の曲げ伸ばし。関節がスムーズに動いているかどうかを確認する

 

マッサージをしながら健康チェック!

病気にかからないように予防することは大切です。

日常的にマッサージをしてあげることで、ネコの体の変化や不調に気づきやすくなり、病気を早期に発見し、適切な処置ができる可能性が高くなります。

チェックポイントは以下の通りです。

 

健康チェックポイント

・呼吸数=平常時の呼吸回数を普段から調べておきましょう。20~30/分が目安です

・脈拍数=後肢の内側にある大腿動脈で脈を測ります。110~130/分が目安です

・目の輝き=いきいきとして輝きがあり、目ヤニもない澄んだ状態が理想です。病気が最初に目に表れることも多く、体調の悪い子は目が曇るケースも見られます

・目ヤニや涙=多少の目ヤニや涙は問題ありませんが、目ヤニが気になるほど出ていたり、目の下が変色していたり、つねに涙が出ている場合は、何か異常があるのかもしれません

・皮膚と毛=ノミやダニがいないかどうか、毛の中、皮膚の表面を確認します

・毛づや=急に毛がゴワゴワしてきたとか、切れやすくなったなど、いつもと違う点がある場合は、要注意です。毛の変化は、血液の変化を反映していることもあるので、普段から手の滑り具合を確認しておくとよいでしょう

・極端な脱毛= 大量に毛が抜けているときは、それが全身で起こっているのか、部分的に起こっているのかをまず確かめます。全身の毛が抜けている場合は、ホルモン分泌の問題が考えられます。部分的に毛が抜けている場合は、ストレスが溜まっているというサインかもしれません。

・体温=抱っこしたときに、ネコの体温を確認します。ネコの体温は人間より高く、だいた38〜39℃くらいですが、いつもより熱いと感じるときは、体温を測ってみましょう

・耳=正常な子の場合、耳の中はとてもきれいです。やたらに頭を振る、頭を掻くという場合は、耳に異常がある可能性があります。耳の根本付近を触ると嫌がる場合も要注意です

・鼻水=鼻水が出ていたり、鼻のまわりが汚れたりしていないか確認します

・よだれ=よだれが異常に出るというときは、歯槽膿漏、口内炎、吐き気があるなどの場合が考えられます。

・膿 = 白っぽい、どろっとしたものが出ている場合は震で、白血球が細菌と闘って、死んだ残骸です。その場合、感染症を起こした可能性があります。動物病院で診察を受けましょう。

・血液=体外に出た血液は汚れた血液で、溜め込んではいけない血液ですから、出血自体を問題視する必要はありません。しかし、出血がいつまでも止まらない場合は、急いで動物病院で診察を受ける必要があります。

・皮膚・粘膜の色=歯茎、舌、白目、耳の内側などが、いつもと違って白っぽかったり、黄色っぽかったりしないかを確認します

・傷=透明な液体が出た跡がないかどうか確認します。跡があるようなら、スリ傷を負った可能性があります

・異常なふくらみやかたまり = 打撲などで腫れることもありますし、ケンカなどの傷口がふさがった後に内部に膿が溜まり、腫れたりするケースも考えられます

・腫瘍 = 少しずつでも大きくなり続けるものは要注意。早めに動物病院で診察を受ける必要があります。

・リンパ節のしこり=主なリンパ節は、全部で5種類あります。下顎リンパ節(あご下の両側)、浅頸(せんけい)リンパ節(肩甲骨の前の部分)、腋窩(えきか)リンパ節(脇の下)、鼠径(そけい)リンパ節(鼠径部)、膝高(しっか)リンパ節(ひざの裏)です。これらを触ってコリコリがなければ、大丈夫です

・乳首周辺の腫れ = 妊娠中か発情期のメスでもない限り、乳首の周辺が腫れている場合には乳腺腫瘍の疑いがあります

・異常な反応=痛がる、嫌がる、触ると怖くなど、異常な反応がないかどうか確認します。また、目の前で手をたたいても何も反応がないようなら、聴覚異常なども考えられます。早めに動物病院の診察を受けさせたほうがいいでしょう

・不快感= 頭から首、背骨、尾にかけてなでて、不快感を示さないか確認します

・足=前足、後ろ足が自然に動くかどうか、曲げたり、伸ばしたり、回転させたりしながら確認します。また、足の先に何か刺さっていないか、爪がとれていないかも確認します

・肋骨=背骨から胸にかけてなで、肋骨に異常がないか確認します

 

これらの項目を、毎回すべてチェックしなくてはいけないというわけではありません。

ただ、いくつかのポイントを頭の隅にとどめながら定期的にマッサージすることで、異変を早期発見し、病気を早期治療してあげることで、完治への可能性が高くなります。

マッサージは飼い主さんとネコちゃんが、お互いリラックスできる素晴らしいひとときです。

ぜひ日々の生活にマッサージをとり入れてみることをオススメします。

タイトルとURLをコピーしました