食事についてお悩みQ&A
食事の量が、うちの子に適正かどうか悩んでいます。
食事の量が適正かどうかは、体形で判断します。
チェックポイントは次の3点です。
1.背中を首からしっ ボックスのコンテンツぽにかけて「軽く」なでたときに、背骨の突起がわかるかどうか。
2.脇腹を「軽く」なでたときに、肋骨がわかるかどうか。
3.上から見て、ウエストのくびれがあるかどうか。ボックスのコンテンツ
●やせているな、と思ったら次のようにします。
・もっと食べたそうだったら量を増やしてみる
・身は満足そうだったら、質を変えてみる。具体的にはタンパク質や脂肪の割合を増やしてみるといいでしょう
●太っているな、と思ったら次のようにします。
・量を減らしてみる。
・量を減らすと不満そうだったら、食材の割合を変えてみる。具体的にはタンパク質や脂肪の割合を減らして、野菜の割合を増やしてみるといいでしょう。
たとえば、もも肉を胸肉にかえれば、脂肪の量を減らすことができます。
手づくり食はパズルみたいなものです。楽しみながら、いろいろトライしてみてください。
うちの子は、朝食べないのですが、どこか具合が悪いのでしょうか?
朝、食べないのはホルモン分泌の影響だという説もありますが、朝6時から「エサをくれ~」と飼い主さんにネコパンチをくらわすネコもいます。
気の向くままに生きるのがネコなのですし、肉体の浄化のために食べないのかもしれません。
昼や夜に食べるようなら、朝は食べなくてもそんなに心配する必要はありません。
ネコの食欲を高める方法はありますか?
食事の温度を変えたり、食事の鮮度を変えたりすることで、食欲を高めることができます。
でも、具合が悪いために、食べないことで体調を整えることにパワーを注ぎ込んでいるのかもしれません。
そんなときは、いくら工夫しても、食欲が戻らないこともあります。
食欲不振はよくあることですか?
はい、よくあります。自然界では、狩りができなければ数日絶食するくらいのことは普通のこと。
いつも満腹というほうが、不自然なのです。
ネコ自らが調整のために、食欲不振になることも考えられます。
1日に何回食事をすればよいのでしょうか?
何回という決まりはありません。
適切な体形で(体重ではなく)、元気にしていれば、食事の回数は気にする必要はありません。
ネコはイヌと違って、チビチビ食べる動物です。
自分の消化,吸収能力と相談しながら、食べる回数を自分で決めているのです。
お水はどのくらい飲めばいいのでしょうか?
基準はありません。
ほしがるだけ飲ませてください。
自然界では、食事で必要な水分量の60~80%がとれるようになっていますし、ネコの腎臓は、少ない水分摂取でも大丈夫なようになっています。
玄米食や穀物食に切りかえたいのですが、なかなかうまくいきません。
どうすればよいでしょうか?
ごはんが好きな子もいれば、そうでない子もいます。
もともとネコは食物連鎖のトップの肉食類ですから、タンパク質(アミノ酸)を糖や脂肪に変えて利用するのが得意です。
ですから、必ずしも穀物が必要なわけではありません。
しかし、アレルギーなどで、どうしても動物性タンパク質が食べられないという場合は、穀物などを与えることもあります(といっても、キャットフードの原材料はほとんどが穀物なのですが …)。
そんなときは、肉や魚で味つけしたスープをかけるとか、今までの食事と似た味つけをすることでスムーズに切りかえられる場合があります。
また、温度が高すぎて食べられないというケースもありますし、食材の銘柄を変えたら食べたという子もいます(ネコは食材の品質を見事に見分けます)。
お肉の炊き込みごはんにしたら食べたという子もいます。
その子その子に合わせた食事を与えてください。
アレルゲン検査でたくさんのものが陽性になり、食べられるものがほとんどありません。
いろいろなものを食べられるように体質改善したいのですが、可能でしょうか?
可能だと思います。
今までの飼育状況をくわしくお聞きしないと、正確なアドバイスはむずかしいのですが、体質改善にとり組んで、
・アルゲン検査はまだ陽性だが、食べても反応は出なくなった
というケースは非常にたくさんあります。
血液を使ったアレルゲン検査は、その時点での状態を示す指標であり、生涯不変なデータではないのです。
よく、「体質は変えられるのでしょうか?」という疑問をお持ちの人がいますが、「体質だから変えられるのです」。
残念ながら、遺伝子でコントロールされている体質は改善しにくいのですが、遺伝子は環境が整って初めて発現するので、もっといろいろに条件を変えれば、今後、改善することができるようになるかもしれません。
人間とネコの違い
「手つくり食をしている」とかかりつけの獣医さんに伝えたら、叱られてしまいました。
そんなに間違ったことをしているのでしょうか?
その先生は不勉強なだけじゃないでしょうか?
まず、あなたは間違ったことをしているのではありません。
ただ、注意すべきこと、気をつはるべきことはありますので、そのポイントを押さえながら手づくりをすれば、大丈夫です。
手づくり食に反対される獣医さんは、不勉強というよりは、手づくり食を実践している飼い主さんが、ささ身とキャベツだけとか、カツオだけアジだけとか、ベジタリアン食にしたとか、明らかにおかしい例をたくさん見てきてしまったので、「手づくりはダメ!」といわれているのかもしれません。
あなたの獣医さんも、「きちんとアドバイスしないと、ソースたっぷりのトンカツをあげてしまう飼い主さんもいるからなぁ~。でも、今そんなアドバイスしている時間はないし..……便利なフードを食べていれば大丈夫なんだから、これをすすめれば、飼い主さんも迷わずにすむだろう」と考えて、そうアドバイスしたのかもしれません。
ポイントさえ押さえておけば、手づくり食で大丈夫です。
理解のある獣医さんも多いですから、食事に関しては、理解のある先生のアドバイスを受けられてはいかがでしょうか。
ネコをペットショップで買ったときに、「この缶詰以外のものは与えないでください。他のものをあげると下剤をします」といわれました。
しかし、いろいろ勉強すると、フードの安全性に問題が出てきます。
ところが、手づくり食にしてみると、確かに下剤をしました。
今は元気ですが、ずっと元気でいてほしいので、私としては、食材の出所がわかる、安全な食生活を送らせたいのですが、やはり加工品のほうが手づくり食よりもネコは受けつけるということでしょうか?
その店員さんのいったことは、ある意味で正解です。
食事内容を急に変えれば、下痢をするのは当たり前ですから。
しかし「これ以外のものを食べさせると体に毒」というような印象を与えたままでアドバイスを終えるのは、不正確な情報を伝えているとしかいえません。
まず、下痢の件ですが、下痢が「悪い状態」という先入観は今すぐ捨ててください。
下痢は、「これ以上長く腸の中にとどまられたら、体に負担になるから、水で流れやすくしてどんどん出してしまいます」という意味か、「お腹の細菌バランスが変わりました」という意味のどちらであることがほとんどです。
食事を変えて下痢をするのは、「お腹の細菌バランスが変わりました」という意味です。
それ以上の意味はありません。
人間でも海外に行けば、便がゆるくなることがあります。
それは、外の、今まで入ってこなかった細菌が口から入ってきて、体内で細菌のバトルが始まり、負けほうが出ていくということです。
A国の人がB国に行くと下痢をして、B国の人がA国に行くと、これまた下痢をしたりします。
これは悪い細菌というよりも、細菌の種類が違うことが原因なのです。
手づくり食にすると、下痢をするネコがいますが、それはほとんどの場合、細菌バランスが変化したという意味です。
もちろん、腐った肉を食べさせて、腸が「このままではマズイ、さっと水で流そう」と判断することもあります。
元気はあるけれど下痢をしているというケースは、少し様子を見ていてよいでしょう。
元気なくて下痢をしているというときは、病院に行ってください。
ネコの平均寿命はどれくらいですか?
東京都農工大学の林谷秀樹助教授らの1994年の調査報告によると、ネコの平均寿命は6.7歳だそうです。
ただし、飼育環境によって大きく変わるものなので、家ネコでは15~20歳ぐらいまで生きるネコは少なくありません。
ネコの寿命に関係ある要素の主なものは、「栄養」「交通事故」「ケンカ」「伝染病」「ストレス」「その他の病気」です。
室内飼いであれば、交通事故やケンカに巻き込まれることはありませんし、致死率の高い白血病や、ネコエイズなどの伝染病を他のネコからうつされるリスクもほとんどありません。
飼育環境を整えることで、寿命を長くすることはできるのです。
うちのネコはとてもわがままで、手渡しでないと食べません。
餓死してしまうのではないかと心配で、いつも手渡しで食べさせていますが、このままでいいのでしょうか?
まずいえることは、あなたが食事を出す限りにおいて、餓死はしません。
目の前に食事があって餓死する動物はいません。
しばらくは手こずるかもしれませんが、放っておけばよいのです。
「刺身を皿に出したけれど、ネコが食べてくれないので、手渡ししたら食べてくれました」という話をよく耳にします。
いろいろ聞いてみると、冷蔵庫から出した刺身をそのまま皿に盛ったと…。
これではネコは食べない可能性がかなり高いです。
ネコにとっても適温は「なま温かい」温度。
自然界で口にする温度は、ネズミや烏の体温です。
「なま温かい」ですよね。
冷蔵庫から出したばかりの刺身は冷たいので、食べものとして認識していないのかもしれません。
手渡ししたら、刺身が人の体温で温まって生ぬるくなった…「なんだ、これは食べものか! じゃ、食べよう」というケースもあります。
温度を変えてトライしてみてください。
それでも手渡しでないと食べないというのであれば、あなたはまんまとはめられています。
ネコは自分の都合に人を合わせさせる天才です。
ネコはあなたを手なずけたと思っていることでしょう。
あなたは舐められている可能性が高いので、あとはどういうつき合い方をするか、あなたが決断すればいいのです。
栄養素について
必須アミノ酸と、タウリンの違いを教えてください。
アミノ酸は、栄養素の種類の名前です。
アミノ酸が鎖状につながったものがタンパク質です。
種類はたくさんあります。
通常、アミノ酸は体の中で他の栄養素から合成されます。
しかし、合成されないアミノ酸もあるので、それらは、食事として直接摂取するしかないのです。
そういう栄養素は必須(欠けてはならない)ですから、必須アミノ酸といいます。
ネコの必須アミノ酸には、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン、ヒスチジン、アルギニン、タウリンの11種類があります。
つまり、タウリンはネコの必須アミノ酸のひとつです。
ビタミンA補給に、動物性のものではなく、カボチャなどの緑黄色野菜で対応したいのですが・・
それは無理です。
ネコは、緑黄色野菜に含まれるβーカロチンをビタミンAに変換する酵素をもっていないので、ビタミンAの補給に緑黄色野菜は使うことはできません。
魚類や、動物の肝臓にはビタミンA(正確にはプロビタミンAというビタミンAの原料)がたくさん含まれていますが、肝臓は体内の解毒器官でもあるので、食材選びは慎重に行ってください。
ビタミンEが足りないと、黄色脂肪症になると聞きましたが。
黄色脂肪症(イエローファット)とは、栄養の偏りが原因の病気です。
青魚ばかり食べていて、ビタミンEを摂取しないと、黄色脂肪症になってしまいます。
この病気は、魚好きのネコに多く見られましたが、最近はキャットフードにビタミンEがたくさん添加されるようになったことにより、減少しました。
原因は「不飽和脂肪酸」のとりすぎです。
不飽和脂肪酸は、必須脂肪酸であるリノール酸、α-リノレン酸、アラキドン酸などの必須脂肪酸も含まれているため、栄養として欠かせません。
しかし、不飽和駒肪酸は酸化しやすい性質があるため、その酸化を抑える働きをもつビタミンEが多量に消費されてしまいます。
ですから、ビタミンEが不足した食事を続けていると、ネコの脂肪が酸化・変性して、本来白色の脂肪が黄色に変色し、脂肪組織が炎症を引き起こすのです。
抱かれたがらない、遊びたがらないという仕草が見られたら、要注意。
まずは、お腹の皮下脂肪に変化が現れます。
後ろ足の間の皮下脂肪に硬いシコリができ、それが次第に胸のほうに広がっていきます。
このシコリを触ると痛がりますし、化膿すると皮膚を突き破って、膿が体外に出ることもあります。
場所が場所だけに、乳腺腫瘍と間違うことがあります。
しかし、悪化させれば腫瘍と同様、危険な病気ではあります。
治療としては、獣医師のアドバイスのもと、ビタミンE摂取を中心とした食事法を行ってください。
予防のためにも、日頃から肉や牛肉、卵黄、小麦胚芽など、ビタミンEを多く含む食品を与えてください。
また、酸化したビタミンEをもとに戻す役割として、ビタミンCは非常に重要です。
マグネシウムをとると、結石になると聞きましたが……
この手の話はよくいわれています。
ミネラルウォーターを飲ませると結石になるとか、〇〇を食べさせると結石になるとか……。
結論からいいますと、抵取水分量が充分で、不要なものがどんどん排泄される状況ならば、大丈夫です。
現在結石があるなら悪化することは考えられますが、それが根本的な原因で結石症になるということはありません。
自然界には、結石症のネコなんて存在しないのです。
ということは、結石の一番の原因は生活環境です
これはあくまでも1例ですが、食事を乾燥したものから、水分を多く含んだ手づくり食に変えることで、多くの場合改善されています。
よく考えてみれば、自然界でのネコの食事であるネズミや鶏は、体の70~80%は水分。
ほとんどが水です。
一方、市販のドライフードはどうでしょう?
含水率は10%程度です。ということは、かなり摂取水分量が少ないわけで、当然、腎臓に負担がかかることになります。
水をどんどん飲んでくれればいいのですが、ネコはもともと水をガブガブ飲むような生き方をしていませんし、あの通り舌でペロペロすくうくらいですから、大した量を飲めるわけではありません。
ですから、水をたくさん飲むネコなら大丈夫なのですが、あまり水を飲まないネコに、乾燥した食事ばかりを与えると、結石症になることがあります。
食材について
ネコに肉を与えてもいいのでしょうか?
もちろんです。
自然界でのネコの食事の多くは小鳥やネズミ、ウサギ、昆虫、爬虫類など、そのほとんどが70~80%の水分を含んだ肉類です。
どうぞ安心して肉を食べさせてください。
ドライフードに比べれば、体にもやさしいといえるでしょう。
栄養バランスが心配?
大丈夫です。
タンパク質から糖も脂肪も体内で合成されますから、心配はいりません。
ただし、肉オンリーの食事にはしないでください。
逆に、魚は自然界ではネコの食事ではありません。
砂肝を与えすぎるとビタミンA過剰症になりますか?
えっ? 砂肝は胃袋です。
肝臓ではないので、ビタミンA過剰症の心配はありません。
ネコに骨は必要でしょうか?
これは賛否両論です。
のどに詰まる可能性があるので止めたほうがいいという意見と、食べさせたほうがよいという意見があります。
止めたほうがよいという人は、ネコはのどや消化器が細いので、骨が詰まったり、歯が欠けたり、また、歯がグラグラすることがあるなどのデメリットを挙げています。
また、ナチュラルな食事をしていたネコは消化能力が非常に高いのですが、市販フードを食べてきたネコの場合、消化能力はあまり高くないため、骨を利用することがむずかしいという意見もあります。
一方で、骨を食べることで、カルシウムの補給や、歯の掃除になるというも意見もあります。
メリットとデメリットを両方考えて、
・軟骨などの柔らかい骨を与える。
・骨と肉をミンチにして、そのまま食べさせる
ことをオススメします。
病気について
乳腺腫瘍だといわれました。老齢のため、麻酔のリスクが怖いのですが、どうしたらいいでしょうか?
今日、きちんとコントロールできれば、麻酔そのものの危険性はかなり低くなってきています。
あまり心配する必要はないと思いますが、麻酔事故が起こる原因としては、
・麻酔状況のモニターがおろそかになる場合。
人間の場合と違って、「麻酔医」はいません。
一般的には呼吸やモニターを視る麻酔係をおきます。
しかし、人数の少ない動物病院では、手術のサポートと麻酔係を兼任することになったり、場合によっては1人で手術を行うケースもあります。
その場合、目が行き届かないことがあります
・お金がかかるなどの理由で、手術前の検査を全部やらないと、予期せぬ出来事が起こることがあります。
・注射麻酔は、吸入麻酔に比べて麻酔のコントロールがむずかしいので、量が多すぎたという。場合に事故につながるケースがあります。
なぜ「量が多すぎる」などということになるかというと、個体差があるため、大丈夫な量の領域がその子その子で異なるからです
・また麻酔は脂肪に吸収されるため、肥満の子は麻酔がかかりにくく(脂肪に吸収されて、酔が効きはじめるまで時間がかかる)、麻酔が覚めにくい(今度は、脂肪から徐々に放出されるため)などのデメリットがあります。
そのあたりは獣医師が一番わかっていることですので、飼い主さんがどうこうすることではありませんが、そういうことがあるということを覚えておいてください。
きちんと麻酔ができる動物病院でしたら、それほど心配する必要はないと思います。
また、薬物が体内に蓄積しつづけることも考えられますので、薬物を服用する場合には、肝機能を強化し、水分をたっぷり摂取し、充分な運動をして、薬物を体内に蓄積させないようにすることが重要です。
下痢・便秘
下痢をしたら、抗生物質を処方されました。
できれば飲ませたくないのですが….
体が衰弱し、免疫力が弱っているのでなければ、飲ませなくてもいいでしょう。
下痢はほとんどの場合、腸内の浄化ですから、重度の感染症で体力が弱っているのでなければ、放っておいて大丈夫です。
むしろ、食事の内容や、精神的なストレスの有無を見直してみる必要はあるかもしれません。
ある家庭で夫婦ゲンカがひどかった頃、ネコが下痢や血便をくり返していたのに、夫婦仲が戻ったらスパッと治ったというケースもありました。
便秘で苦しそうです。どうしたらいいでしょうか?
まずは、グリセリン浣腸などをして、いったん溜まっているものを出すことをオススメします。
そして、その後は再発を防ぐために、
・食物繊維を含んだ食事をする
・含水率の高い食事をする
・精神的ストレスが少ない生活をする
を心がけてください。
具体的には、ネコの草などを食べられるようにするとか、ドライフードを缶詰や手づくり食などに切りかえてみてはどうでしょうか。
精神的ストレスに関しては、いろいろなことを考する必要があります。
飼い主さんが会社で怒られた日からしばらくは、必ず便秘をしてしまうというデリケートな子もいます。
嘔吐
吐いてしまうときは、何を食べさせればいいのでしょうか?
食べたくないのでしたら、何も食べなくていいでしょう。
心配な嘔吐というのは、
・1日に何度も吐いてしまうとき(ヒモなどの異物を飲み込んで腸が詰まった!というケースなど)
・腎不全のとき(このときはひどく元気がなくなります)
などです。
吐いていても元気があれば、しばらくは様子を見ていてもいいでしょう。
食べすぎてしまったために、吐いているというケースも多く見られます。
耳掃除
耳アカは綿棒でとっていますが、それでよいのでしょうか?
錦棒での耳掃除はオススメしません。
飼い主さんは愛情から、耳の中が赤くなるほどこすってしまい、かえって炎症を起こしてしまうことがよくあるからです。
ネコの耳掃除をするときは、2人必要です。
1人は押さえ係、もう1人は掃除係。
洗浄液を耳の中に入れ、脱脂綿を詰め、耳の根本をもみます。
綿をとり出し、新しい脱脂綿もう一度を詰めて、耳の根本をもみ、脱脂綿をとり出します。
片方が終わったら、もう片方も同じようにやります。
ちなみに、洗浄液は動物病院で入手するものでも構いませんし、緑茶でやるのもオススメです。
でも、とらなければならないほど耳アカが出るのは、なんらかの体調不良が考えられますから、食事療法なども併用して、根本的な解決を採ってください。
肥満
「肥満だから食事量を減らしなさい」といわれました。
でも、うちの子は食べるのが大好き。
どうしたらいいですか?
ネコの場合は人間やイヌと違って、肥満で病気を併発することは少ないそうです。
肥満の原因は、食べすぎと運動不足です。
室内飼いでは運動量が減りますし、それが原因でストレスが溜まるというケースもあります。
ただし、肥満のネコを絶食させると、2日ほどで「脂肪肝」という病気になる可能性があります。
注意しなくてはならないのは急にやらないこと。
体重を減らすためには、目標を決め、2~3カ月かけて徐々にエネルギーを減らしていくことです。
この際、食事の量は減らさずに、食べものの中身を変えることで、摂取カロリーをコントロールするのがよいでしょう。
無理なダイエットをすると、肥満のネコは、細胞のエネルギー源となる糖分を食べものから吸収できないため、体内の脂肪を溶かして糖分を確保しようとします。
その結果、短時間のうちに、あまりにもたくさんの脂肪分が肝臓に集まって、肝臓が処理しきれず、たくさんの中性脂肪が肝細胞に蓄積されてしまい、「脂肪肝」になる可能性があります。
なんらかの病気や強いストレスで食欲が落ちた場合に、起こることもあります。
ネコは外に出してはいけないといわれましたが…
それはおそらく、「事故やケンカ、伝染病のリスクを考えたら、室内飼いにしたほうがいいのではないでしょうか?」という提案だったと思われます。
いろいろなアクシデントはある程度は仕方のないことですが、飼い主さんにしてみれば1日でも長く一緒にいたいと思うでしょうから、獣医師としても「室内飼いのほうがリスクが少ないし、長生きできると思いますよ」という親切心だったと思います。
また、「伝染病の拡大を防ぐために、なるべくネコを外に出さないように」という意見をおもちの方もいらっしゃいます。
いずれにしても、外に出す、出さないは、飼い主さんが決断することです。
出したら出したで、それなりのリスクがありますし、出さなければ出さないで、経験できないこともある。
そういうことを理解した上で決断してください。
ワクチン
具合が悪いとき、ワクチンは打てますか?
具合が悪いときは、打たないほうがいいと思います。
ワクチンを打つことで、慣れない環境で緊張し、痛いことをされて疲れたのか、具合が悪くなる子もいます。
具合が悪いときには免疫力が充分に働かないので、少し待ってはいかがでしょうか。
そのあたりの判断は、かかりつけの動物病院の先生に相談してみることをオススメします。
おわりに
最近、「キャットフードが危険!」という記事をよく見かけるようになりました。
「保存料が危険だ!」「着色料には発ガン性がある!」など、いろんな危険性をあげて読者をあおっていますが、そんな報道にとても違和感を感じる人もいます。
飼い主さんとネコとの生活は、長ければ20年近くにもなるでしょう。
あまりピリピリせずに、「合わなければ他の方法を考えればいいや」と、ライトな気持ちでとり組んでいくのが、一番かなと思っています。
よくある質問は、「かかりつけの動物病院ではこういう風にいわれたのですが、実際のところどうなんでしょうか? かかりつけの先生には聞きにくくて……」「こういう治療を受けているのですけど、それが一番適切な方法でしょうか?」という質問です。
かかりつけ先生になかなか質間しにくいのは、よくわかります。
でも、理由がわからないと、どうしていいのかわからないものです。
理由がわかれば、たとえその事態が深刻でも、前向きに「頑張ろう」と思えるものではないでしょうか。
ですから不安に思ったことは、かかりつけの先生には、納得いくまで質問することが大切だと、思います。
専門家にとってもうひとつの大事な役柄は、不安な飼い主さんが安心できるように、努力することだと思います。
何をやるべきなのかを伝えるだけではなく、「無理はしないで」といってあげることも必要ではないかと、思うのです。
無理をすれば、長く続けるうちにだんだん辛くなってくるもの。
ネコと楽しく暮らすことが、一番大事なことなのですから。
ネコの生活パターンのみならず、飼い主さんの接し方、思考パターンも、ネコの体調に影響を及ぼすことです。
飼い主さんが悩んでいたり、不安だったりすると、ネコの病気が治りにくいケースも、たくさんあります。
1人でも多くの方に、「ネコと安心して楽しく暮らす」ヒントを見つけていただければ、うれしく思います。