手づくり食という選択肢

大切なことは、「自分のネコに合わなければ、他の選択肢を試してみればいい」ということです。

あなたは学ぶことができるし、方法はいくらでもあります。

ドライフードが合わないと感じたら、缶詰という選択肢もあります。

市販のキャットフードが合わないと感じたら、冷静に次の方法を考えればいいのです。

「あのフードを試したけど、うちの子には合いませんでした。このフードを試しても合いませんでした。いろいろ試したんだけれど、合うものが見つからないんです。私はどうしたらいいのでしょうか……」

そんな悩みを抱えている飼い主さんは多いです。

そのような方には、フードに何か食材をトッピングしてみる。

あるいはもっとこだわって、手づくり食でという方法もあります。

ふだん人間が食べている食事に、ちょっとネコちゃんの好物をプラスしてあげるとか、手づくりでもいろいろな食材を試してみるとか、選択肢はあるのです。

気楽な気持ちでいろいろ試してみてはいかがでしょうか。

現在、イヌの飼い主さんで、手づくり食をとり入れている方はかなり増えてきました。

ネコの手づくり食を始めている人の話もよく聞くようになってきました。

これからはネコの飼い主さんの間でも選択肢の幅が広がっていくことでしょう。

 

手づくり食の誤解

まずは、栄養バランスの問題。

多くの飼い主さんの頭には、いろいろなところで植えつけられた「栄養バランス神話」が根強くブログラムされています。

栄養バランスは、手づくりしたいと思っている飼い主さんにとって、一番の不安のようです。

そもそも、人間の食事でも、毎日毎食、カロリー計算、栄養価計算をきちんとして、メニューを考えている方がいったいどれだけいらっしゃるでしょうか。

ネコだって、そんなに神経質にならなくてもいいのです。

そういうと、「人間は体が大きいから他でカバーできるけれど、不コは小さいからすぐ弊害が出てくるのでは……」とさらに心配される方がいます。

でも、心配はいりません。

体は勝手に調整してくれるのです。

 

栄養バランスが最重要ではない!

多くの飼い主さんからお聞きするのですが、子ネコを飼いはじめて、初めてワクチンを打ちに病院へ連れていったとき、こういわれるそうです。

 

「ネコと人間の栄養要求は違いますし、栄養バランスのとれたフードを食べさせないと病気になってしまうんです。ですから、このフードを食べさせてください」

 

市販のフードを否定する立場にはありませんが、もしその栄養バランス満点のフードを食べて体調が思わしくなくなったり、食べなかったり、合わないと感じたら、次にどう考え、どう対処したらいいのかということまでは、お伝えしなければならないと思うのです。

「どうも市販のフードが合わないようだ」と感じたときに、他に選択肢がないというのは心許ないものですよね。

そういう意味で、「手づくり食という新しい選択肢もあるのですよ」ということを覚えておいていただきたいのです。

 

足りないのは水!

よく、栄養バランスが最重要だという方がいますが、もっと重要なものがあると思うのです。

生命維持という観点で見た場合、「栄養バランス」「水」「酸素」の3つを、大切な順に並べてみてください。

おわかりですよね。

まずは「酸素」、そして「水」、ず~っと後に「栄養バランス」です。

散歩などの運動を充分にさせないで、つまり、酸素を充分にとり込む機会も与えず、「うちの子は水を置いても飲まないから」と水を充分に飲ませることもなく、「栄養バランスがとれていないかと心配で……」と悩むのは、順番が違うのでは、ということなのです。

実際、「栄養素というよりは、水が足りないために具合の悪い子が多い」ということです。

イヌの飼い主さんに、市販のフードもいいけど、手づくりのドッグおじやもいいですよ、という選択肢をオススメすることがあります。

そうすると、「手づくり食に変えて、元気になりました。おじやってすごいですね」という感想はとても多いです。

また、「おじゃがよいらしいことはわかりました。でも、うちは共働きで、なかなか手づくりしてあげる余裕がありません。うちの子は皮膚病なのですが、どうしたらいいですか?」という質問も多く、「それなら、フードにお湯をかけてふやかしてあげてみたらどうですか」とアドバイスしたところ、「治りました!ビックリしました!」という方も多かったのです。

 

ドッグおじやにすごい効き目があるんだということなのです。

でも、実はおじやがすごいというよりは、どうも、「水分がすごい!」ということのようなのです。

「ベットフードの「総合栄養食」の定義も、「ペットフードのうち、犬又は猫に毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフードと水だけで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養的にバランスのとれた製品であって、施行規則に定める栄要成分等の基準を満たすものをいう」とあり、「水が必要!」と書いてあるわけです。

栄養面にだけ注目して、水をおろそかにしていては、問題が出てきてもおかしくはないですよね。

 

栄養素は体内で必要に応じてつくり変えられる

私たち人間は、甘いものをたくさん食べると太る人が多いかと思います(まれに、いくら甘いものを食べてもスラッとしている人がいますが、うらやましいですね)。

ということは、「糖質」は、体内で「脂肪」につくり変えられるということです。

これは、栄養学の基礎ですが、エネルギーとなる「糖質」「タンパク質」「脂質」は、体内で必要に応じて相互につくり変えられるのです。

ただし、脂質から糖質はつくれないようです。

ということは、あまり栄養バランスなんて考えなくても、体が勝手に、必要に応じて成分をつくり変えてくれているということです。

ただし、基本的にビタミンやミネラル、体の中で合成できないアミノ酸や脂肪酸(必須アミノ酸、必須脂肪酸)があるので、それは食事として摂取しないといけません。

しかし、これも、ちゃんとした食材で手づくりしていれば、特に心配する必要はないのです。

自然界の食物連鎖ピラミッドでは、ネコは肉食動物のポジションにいるので、タンパク質をアミノ酸に分解して、アミノ酸をさまざまな栄養素に変換して利用していくという能力に長けています。

ですから、結構、動物性タンパク質だけでも生きていけるものなのです。

栄養バランスに関しては、それを心配するあまり、手づくり食を躊躇するほど深刻に考える必要はない、ということです。

ネコの食事に関する本を参考にして、実に忠実にカロリーを計算し、食材を厳密に測ってつくられる方がいるようです。

しかし、だんだん面倒くさくなって、「このぐらいでいいか.…」「これでもいいか……」「これも……」となっていくうちに、だんだん原形をとどめない食事になっていったそうです。

でも、元気なんです。

特にネコちゃんは偏食家の子が少なくなく、好みの食材だけで食事をつくると、栄養バランスのかけらもない、大丈夫なのか……と不安になってしまう飼い主さんもいらっしゃるようですが、短期的にはやせてきてビックリすることがあっても、長期的にはほとんどの場合大丈夫です。

 

まとめますと、

●水、酸素、栄養バランスの順で大事!

●栄養は体内で必要に応じて、自動的につくり変えられる

●体内で合成できない、ビタミン、ミネラル、必須アミノ酸、必須脂肪酸は、食材からとる

 

ということです。

ちなみに、ビタミンCは、グルコースからつくり変えられるって、ご存じでしたか?

グルコースとは、いわゆる「糖」ですが、霊長類やモルモットはつくり変えるのに必要な酵素がないので、食事として摂取しないといけません。

でも、ネコは大丈夫!

グルコースは、ごはんなどの穀類に多く含まれていますし、肉からも合成できるので、ネコは野菜や果物を食べなくても、ビタミンC不足になる心配はないのです。

 

栄養素についての誤解

栄養素については、もうひとつ、間違いやすい点があります。

よくフードのラベルに、ご丁寧に「この製品100g中にはアラニンが300暇、チロシンが200……」などと書かれていることがあり、飼い主さんも「ほぉーっ!これなら科学的につくられているから安心!」と買われたりするのですね。

ですが、栄養分が「(分析上)含まれていること」と「吸収されること」、さらに「体内で利用されること」は別問題なのです。

食材に含まれる成分そのものが吸収されにくいということもありますし、また、たとえ理想的な栄養バランスのフードだったとしても、ネコちゃんの胃腸の調子がよくなかったら、せっかく含まれている栄養成分も腸から吸収されずに無駄になってしまうこともあります。

さらに、吸収されたとしても、体内で利用されるときに、その成分が正常に機能するかどうかも確実とはいえないのです。

最近は、手軽にベット用の健康補助食品が手に入るようになりました。

しかしこれも、胃腸の状態が悪い子に、値段の高い機能性食品を飲ませても、どれだけ吸収されるかわかりません。

ネコが膵臓の腫瘍のため、体力がなくなってきたためアガリクス茸の粉末をやっている方がいました。

ところが、一向に効果が現れないのです。

「便の出はどうですか」と聞いてみると、「数日間出ていません」とのこと。

これでは腸が機能していない可能性があるわけですから、せっかくのアガリクス茸も、どれだけ吸収されているか疑問です。

ほとんど効果が出ないのも当然のことかもしれません。

この場合は、健康補助食品の効果がないのではなく、そのときのネコちゃんの吸収能力では、どんなに高い食品をあげても吸収できずに無駄になっていた可能性が高いということです。

ネコが乳腺腫瘍になったとき、免疫力を高める冬虫夏草の粉末とエキスの両方を使うと、ネコの場合、粉末よりもエキスのほうが吸収がよいらしく、腫瘍が小さくなっていく確率はエキスのほうが高い結果がでることがあります。

ですから、「このフードは栄養満点だから、これさえ与えれば元気になってくれるはず」と考える前に、まずは発想を逆転させ、胃腸の調子を整えて正常な吸収能力を獲得させていく必要があります。

 

ネコは気むずかし屋

ネコに手づくり食を導入すると、最初にぶつかる壁は「偏食」かもしれません。

ネコは離乳期に食べたものの「におい」を食べものとして認識するようにプログラムされています。

 

ここが、なんでも食べるイヌとは大きく違うところで、しかも、頑張っても、なんでも食べるようにはなれないのです。

 

「猫またぎ」という言葉があります。魚の好きなネコでさえも、またいで通りすぎるという意味で、まずいもののたとえです。

 

ネコは、イヌ以上に食材の質に敏感です。

さらに、ネコによって、食べものの好みが異なります。

ネコの判断基準はよくわかりませんが、どれが気に入るのか?……それを探すのは、われわれの楽しみです。

食べなかったものを「あぁ、これも食べなかった……」と考え込むことはしません。

さっさと忘れて、「これはどうかな?」「今日のこれは」と気に入りそうなものを次々探していくのが楽しいのです。

オススメしている方法のひとつが、「小皿テスト」です。

小皿に1皿ずついろいろな食材をのせて、どれを食べるかをテストします。

その食べる食材を使って、食事をつくるという方法が、嗜好の壁をクリアする方法です。

あれこれ試してみて、わが愛するネコが食べてくれたとき、「ヤッター!」と嬉しくなるのではないでしょうか。

なかなか食べてくれないときがあるから、嬉しいんですよね。

「それに、食べないときは断食状態で、体が浄化されるから、ネコ自身にとっても非常にいいわけです。

よく、「食べない日が2日も続くのはかわいそう。死んじゃう!」などと心配する飼い主さんがいらっしゃいますが、それぐらいで死んだりはしません。

自然界では1週間も食べられないことは珍しくありません。

野生の動物は、太ったり、やせたりしているのです。

べつに毎日食べなくてもいいし、食べたくなったら食べるんだと考えてかかれば、気分が変わります。

よくわからない食材を、食いつきのよくなる風味づけでごまかされたフードを食べさせるのに比べたら、確かに根気がいることかもしれませんが、むずかしいパズルゲームだと思って、楽しみながらやってみるのはいかがでしょうか。

まあ、目の前に食事があって、餓死する生き物はいないので、深刻になることはありません。

ネコの好みに振りまわされないようにしたいものですね。

 

生食か加熱食か?

賛否両論あります。

でも、これも「合う/合わない」で決めればいいのではないでしょうか。

生食派で、「ビタミンやミネラル、酵素が失われるから、加熱食は間題外です」という方もいますが、実は加越したほうが細胞が壊れて、細胞の中にあるビタミンが出てきて、生よりもビタミンの吸収率が高くなる、という実験データもあります。

「自然界では、動物はすべて生で食事をしています。加熱食は不自然です」といわれる方もいますが、「家の中で動物を飼っていて、自然も不自然もないだろう」という見方もあります。

「合う/合わない」で決めればいいし、どちらを選んでもいいのではないかと思います。

週の半分は生食、残りの半分は加藤食でもよいですし、どうしても不安な方は、加熱食にビタミン・ミネラル,消化酵素のサプリメントを加えるなど、いくらでも工夫ができます。

何が正しい、間違っているということはありません。

同じネコ族でも違いますし、多頭飼いしている方はわかると思いますが、同じ種類でも違います。

どちらが合うか合わないかは、やってみないとわからないのです。

だから、最初からどちらがよいかなんて考えないで、あなたが望む結果が得られるほうを選択してください。

ちなみに、「週の半分は生食、残りの半分は加熱食」という話をしたら、「どっちを4日にするのがいいですか」と聞いてきた飼い主さんがいました。

あなたはどう思われますか?

 

時間がかかる。

手づくり食は時間がかかるからと露躇される方が多いのですが、週に一度まとめてつくって、冷凍保存し、食べるときに解凍するという方法をとり入れている方もいます。

自分の食事をつくりながら、かんたんに準備できるレシピもあります。

もちろん、市販のドライフードの袋を開けて、カラカラカラ……という便利さにはかないませんが、愛情たっぷりの手づくり食に、ちょっとだけ時間をかけてみるというのも楽しいものです。

 

食事の回数

ネコは少量を回数多く食べる生き物です。

というのも、イヌと違って、単独で狩りをするので、ゆっくり食べられるのです。

イヌの場合は集団生活を行っているため、われ先にガツガツ丸飲みするという習性があります。

ネコは一度にたくさん食べてしまうと消化しきれないので、ゲイ、ゲコ、ゲコ、ゲコ、ゲェ~と吐いてしまうことがあります。

ネコはちょっと食べては食べるのを止め、またしばらくして食べにいって……をくり返します。

ネコの性質を知らない方は、「私がつくった食事はおいしくないのかしら?」と無用な心配をしてしまうことがあります。

とにかく、「ネコは少量を回数多く食べる生き物だ!」ということだけ覚えておいてください。

 

かんたんでいい!手づくり食の基本

ネコはイヌと違って、炭水化物を利用するのが一般的に苦手のようです。

しかし、苦手というだけで、まったく利用できないというわけではありません。

毎日の食事は、(肉・魚):(穀類):(野菜類) 7:1:2ぐらいの比率で、スタートすることをオススメしております。

何が何とか、電卓を片手に計算するのが好きな方はよいのですが、むしろ、楽しく長続きできるように考えたほうがいいと思うのですね。

だいたい上記の目安でスタートして、それで何か問題が生じるようなら、見直すということでよいと思います。

具体的なレシピについては、後ほど。

 

導入(切りかえ方)」

ネコは偏食の子が少なくありません。

手づくり食は市販のフードよりも、原材料の質のコントロールが自由ですし、なんといっても新鮮で、安心できる食事です。

ところが、ネコはにおいをかいで、今まで食べてきたものとあまりに違うと、どんなに品質がよくても、受けつけてくれない可能性があります。

なんでも食べてくれるネコちゃんもいるのですが、基本的には、これまでの食事に混ぜながら、少しずつ割合を増やしていくという方法をオススメします。

 

「どのくらいの期間で切りかえていったらいいのですか?」という疑問ですが、その子その子で違うことになります。

3日ぐらいで終わる子もいれば、1カ月もかかる子もいます。

そもそも「導入」なんていうことを、なんでわざわざやるかというと、食事の変化にとまどう子が多いからです。

そこで、徐々に変えていって、ごまかしましょうということなのです。

パッと変えても何事もなく食べるようなら、心配せずに切りかえてよいと思います。

 

体調変化について。

手づくり食に切りかえると、今までドライフードを食べていた子ほど、水分摂取量が多くなるため、結果、血行がよくなり、代謝がよくなって、排泄が活性化することがあります。

この活性化は「排毒」の一種ですが、目ヤニが増えたり、皮膚からの排泄が促進されて皮膚病の症状がひどくなったり、体全体のメンテナンスにエネルギーを回そうとしてか、元気がなくなったり….と、いろいろなことが起こることがあります。

特に、今まで排泄できずに、老廃物を溜めこんできた子ほど、しんどい状態になるようです。

また、下痢や便秘になることもあります。

下痢をするのは、腸内の細菌バランスが変化したためで、本人が元気なら、脱水に気をつけてさえいれば、どんどん出してかまいません。

また、便秘は、これも脳の中の環境が変わった現れで、食物繊維を食べていれば大丈夫でしょう。

「この辛そうな状態はいつまで続くのか?」という疑問は、たいてい1週間ほどで改善するはずです。

もちろん、それまでどれだけ老廃物を溜めてきたかによって、しんどい期間は異なるようです。

 

食事の量

手づくり食でよくある質問は、「どのくらいの量を与えたらいいのかがわからない」ということ。

おおむね、食べさせてみて、体形がどう変化していくかを見て、食事内容を見直していきましょう。

見直しには「量」と「食材の制合」のふたつがあります。

まずは、ネコちゃんが満足する量を見つけることからスタート。

それがだいたいわかったら、今度は太ってくるか、やせてくるかで、対処の仕方を決めます。

太ってくるなら、どんな食材で太ってくるかを突きとめ、それを減らします。

逆にやせてくるなら、何を食べさせたら太るかを探して、見つかったらそれを増やします。

短いと1カ月、長いと数カ月かかるかもしれませんが、気長にとり組めばよいのではないでしょう。

 

まとめると、次のようになります。

1 まず、目安となるスタンダードなレシピ・量を与える

2 食べる量を決める。

・それを全部食べて、まだほしそうなら、もう少し量を増やす

・全部食べきれないようだったら、量を食べきれる量に減らす

 

3 食べる量を見直す

・約2週間後、太ってくるようだったら、肉の割合を減らして野菜の割合を増やしてみる

・それでも太ってくるようだったら、肉の割合を戻して、穀類の割合を減らしてみる

・約2週間後、やせてくるようだったら、脂肪の量を増やす

・まだやせてくるようだったら、穀物の割合を減らして、肉の割合を増やす

・まだやせてくるようだったら、野菜の割合を減らして、穀物の割合を増やす

 

このようなやり方で、調整していきましょう。

 

ネコの肥満を判断する体形3つのポイント

飼い主さんはまじめな方が多く、観察力も鋭いので、ちょっとしたネコの変化に敏感に反応します。

「手づくり食にしたら、うちのネコが急にガリガリにやせてきました……」という飼い主さんの心配のほとんどは、過去、飼い主さんが正常だと思っていた体形が、実は肥満状態だったというのが実際のところです。

「やせてきた」のか、「締まってきた」のかを、判断する必要があります。

その子その子で骨格などが違うため、体重という数値は参考にはなりますが、絶対的な指標ではありません。

一般に使われている指標は、次の通りです。

 

背骨

背筋のラインを指でなぞって、背骨の突起がポコポコとわかるか?

わからないなら減量を!

 

肋骨

脇腹を指で軽く触って、ピアノの鍵盤を指でなぞったときのように、助骨があるのがわかるか?

わからないなら減量を!

 

ウエストライン

上から見てウエストのくびれがわかるか?

わからないなら減量を!

 

背骨、肋骨、ウエストラインの、3つがチェックポイントです。

「締まってきた」ことと、「心配するほどやせている」ことは別問題。

自分は心配しすぎているのではないか?という目で、もう一度チェックしてみてください。

 

太ってきたら

同じ食べものでも個体によって、それを消化吸収できる、できにくいという特性があります。

そのときのお腹の状態にもよります。

ネコを何匹も飼っている方のところで、あるネコは太っていって、あるネコだけやせていく、なんていうことはよく起こります。

「同じ食事をあげているのに、この子たちだけやせていくんですよー。この子たちは具合が悪いんでしょうか?」と心配になることもあるでしょう。

そのときは、「肉の赤身中心の食事だったのを、この子たちだけ脂身を増やしてみる」といったことを実践してみます。

すると2週間後、「今度はぶくぶく太りだした?」というようなことは、決してめずらしくはありません。

この例でわかる通り、肉の赤身で太る子と、脂身で太る子がいます。

この他に、穀類を食べると太る子もいます。

個体差があります。

「ネコという生き物は……」と大きくはくくれません。

ですから、まずは、「うちの子は何を食べると太るのだろうか?」を調べる必要があります。

これを調べるのは、探偵のようで楽しいものです。

動物の反応を通じて、いろんなことを学ぶことができます。

そんな経験ができるわれわれは幸せですね。

で、具体的には、先ほども述べた通り、食事全体の点は一定にして、

 

・脂身の割合をらして、赤身の割合を増やしてみる

・2週間後、それでも太ってくるようだったら、赤身の割合を減らして、野菜の割合を増やしてみる

・さらに2週間後、それでも太ってくるようだったら、赤身の割合を戻して、穀類の割合を減らしてみる。

 

という具合に考えてみてはいかがでしょうか。

何もこの順番にこだわる必要はありません。

大切なのは、量は一定にして割合を変化させるということです。

 

やせてきたら

ほとんどの場合、飼い主さんの勘違いであることが多いです。

今までが単なる肥満状態で、手づくり食にしてやっと正常状態に近づいているのに「ガリガリになってきました・・…」と不安がる飼い主さんが大半。

ただ、ごくまれに、本当にやせてくる子がいます。

その場合、食事量の不足がほとんどです。

まだまだ食べられるのに、「計算上このぐらい」と出てきた数字に固執している飼い主さんが陥りやすいようです。

 

この場合、

●まずは、量を増やす

●次に、脂肪分を増やす

●もしくは、肉、魚を増やす

 

という方法で改善されます。

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