ネコの食の行動学

ネコの食事

ネコは魚イヌは骨が本当に好き?

 

食行動と改まって言うと何のことか戸惑ってしまいますが、人の食事で考えてみると意外といろんな要素があるものです。

まず1日の食事の回数、誰が準備し誰と食べるか。

食べ方は、食べるものは、また食物の入手方法と調理方法といろんな要素があります。

もっとも人は社会性の大変強い動物ですから、同じ人でも社会によって食行動に随分違いがあります。

ネコやイヌはそれに比べればシンプルですが、人と共に暮らす動物ですから人の社会の影響を受けることは言うまでもありません。

特に日本のネコは日本人の魚を食べる食文化の影響を強く受けていると考えらえられて、特異的食生活を送っていると信じられています。

ネコとイヌ科はどちらも食肉目の動物で、同じように扱われる傾向にありますが、実際は大きい違いがあります。

ネコ科の動物は ライオンにしてもトラにしても純粋の肉食です。

それに対してイヌ科のタヌキやキツネは肉食が基本ですが、植物食も結構うけつける雑食の動物たちです。

家畜化されたネコもイヌもやはり同じで、ネコは今でも純粋肉食動物ですが、イヌは本籍肉食、雑食というべき動物です。

ネコの家畜化が5,000年と新しく、人の影響が少ないのに比べ、イヌの家畜化が 約30,000年と古く、人の影響を受けたために食生活が変化したと いうわけではなく、もともと雑食性が強かったということでしょう。

ネコはイヌとはもともと違った食生活の動物で、これから先ずっとネコは純粋肉食動物をやっていくでしょう。

イヌの先祖は中央アジアのオオカミというのが一番有力ですが、ではオオカミがどうしてイヌになったのでしょうか。

人の周りにいけば食べ残したゴミにありつけた、廃棄物をあさるスカベンジャーとなったのがイヌの誕生ではないでしょうか。

人も外部からの侵入者を教えてくれ撃退もしてくれるイヌが役にたつことはあっても邪魔にはならなかったでしょう。

それに比べネコは家畜化の最初から独立派で、古代エジプトでライオンの代わりに宗教的儀式に使ったのが家畜化の動機と思っています。

自分の食生活のスタイルを変える必要はなかったわけです。

家畜化された後はもっぱらネズミ対策として、ペットとしての道を歩きますが。

もともと集団に馴染まない動物ですから、自活の幅 が大きく田舎などでは軒下を借りるだけで、食べ物は自分で手に入れる生活もやっていたようです。

ネコは人から簡単に離れて自活できる独立性の高い動物です。

今でも欧米の田舎では、人から与えらえれる食物に自前のネズミや鳥を加えるネコがいます。

スイスの納屋ネコなどは、納屋のドアに丸い専用の出入り口がありほとんど自前の食料調達に頼っています。

 

ネコのハンティングとテーブルマナー

 

ネコは単独で狩りをする動物です。

ネコというよりネコ科の動物共通の行動で、ネコ科の中ではライオンだけが例外といえます。

孤独なハンターという表現もありますが、気ままなハンターでもあります。

ネコのハンティングは、目や耳というその場だけの感覚に頼る単独のハンティングですから、高度な技術が要求されあまり効率の良いものではありません。

しかしネコの体のしくみは高度技術者にふさわしく作られています。

ネコのハンティングは目や耳で獲物を探すことから始まります。

ネコの目は正面に二つ並んでいます。

イヌのように両側につくより視野は狭くなりますが、視野の中にある動くものは蟻一匹逃さないと言われています。

ネコの瞳が縦に閉じるのは草原の草の間に隠れて獲物を捕るためだと言われています。

獲物を見つけたネコは、獲物に気づかれないようにそっと近づく必要があります。

まず風の流れを鼻や耳で感じ取り風下に回り耳の方向感度は素晴らしく22個の筋肉で微妙に動きを調節します。

耳の筋肉はイヌで7個、人はわずかに9個です。

音は高周波に感受性がたかく、一番のエネルギー源であるネズミの声や、鳥の声を聞き取りやすくなっています。

もちろん獲物に近づくには姿勢を低くして、そっと音をたてずに歩きます。

そのため体は軟らかく低い姿勢で歩くことができ、音をたてないように爪は鞘の中にしまいます。

アタックできる位置まで近づくと止まり、距離を確認、腰をブルブルふるわせ力を後ろ足に蓄えます。

アタックは後ろ足で力一杯キックしジャンプします。

一瞬の仕事ですが鋭い感覚と瞬発力を常に蓄えていなければなりません。

それにたぐい希なバランス感覚が安定したジャンプを保証します。

獲物は自分より小さなものを襲うのが原則です。

ネコの獲物はネズミ、鳥、トカゲ、昆虫とさまざまです。

襲われる方もネコの食事として生まれてきたわけではありませんから、襲われれば激しく抵抗します。

当然ケガをすることになるので大きい獲物はさけてしまいます。

襲われるのはネズミが中心ですから、ネコもそれに合わせてネズミが活躍する夕刻に一番元気が出ます。

実際代謝活動の指標となる副腎皮質ホルモンは、人やイヌは朝多く分泌されますがネコは夕方に一番出ます。

目の構造も夕刻のわずかな光を有効に使うよう反射膜が網膜にあります。

捕った獲物はひとりで食べますが、お腹が空かなければネコはハンティングをやりません。

それに比ベイヌはゲームとしてハンティングをやります。

同じネズミを捕るにしてもテリア系のイヌは、ネズミ捕りに改良されていますから、ゲームとしてむきになり、たくさん殺します。

あくまでも人に喜んでもらうために捕るのがイヌのハンティングです。

イヌの訓練は褒めることだけでも成立しますが、ネコの訓練はネコを空腹にしない限り成立しません。

ネコは現実派です。

おだてには乗りません。

お腹が空いた時がネコのディナータイムです。

ネコのディナータイム

 

ネコのハンティングタイムがタ方であることを説明しましたが、まさか私たちは野生のネコと暮らしているわけではありません。

当然人の生活に合わせて生活してくれなければ困ります。

忙しければ食事の時間を決めなくて、いつもドライフードを出しっぱなしにしても構いません。

が、もう少しめりはりのきいた生活をさせたいと思った時は、食事の時間を決めるのも良いでしょう。

もっとも、ドライフードはそのままでも良いのですが、缶詰や人の余り物を混ぜることを前提に作られています。

 

自活するネコのディナータイムはいつでしょうか。

 

食事であるハタネズミが動き出す夕方がネコの体も一番活発な時間で、一番おいしくネズミを食べられるディナータイムです。

しかし問題があります。

ネズミ1匹では1日に必要なカロリーをまかなうことはできません。

1日のうち何度でもネズミを調達に行かなければならないのです。

今、日本のネコたちが食べているキャットフードは、ネズミよりおいしくカロリーもたくさんあります。

ネコの活動時間帯の夕方に1日1回食べるだけでカロリーは間に合います。

夕方のディナーだけでも、なんとはなしに時間の過ぎているネコの生活に、リズムが合っていて良いかもしれません。

食事を朝晩2回にする習慣をつければ、日曜日の黄金の朝寝の時間は確実に消えます。

時間が過ぎても少しは許してくれますが、そのうちがまんできなくなり、やさしく顔を舐めます。

それでも起きなければネコもきれます。

高いところに登り、お腹をめがけ、思慮のないネコは顔に飛び降り起こします。

夕方の食事時間になればそわそわと落ち着かず、台所の人の足にすりより、まず自分の食事を催促します。

人と暮らしているネコのこれが獲物を得るためのハンティングでしょう。

ネコの食事時間を決めるということは、それくらいの意味しかありません。

ネコの食事の時間を決めないで自由に食べさせた実験では、1日平均で3回食べたそうです。

これは1日に小さな動物を何回もハンティングして食べた習慣の名残りでしょうか。

ハンティングという労働で得られた報酬から食事の回数が決まるわけです。

人の食事の時間も人が働くことを前提に決められています。

経済活動のスタイルが違えば、食事の方法も変わります。

1日2回の場合も3回の場合もあれば、お腹が空けばネコのように勝手にめいめい食べる文化もあります。

人の生活スタイルと、ネコの求めるものによって食事の時間は考えれば良いと思います。

一人暮らしでネコと一緒に話をしながら食事をすることが楽しみだという人もいます。

都会のネコはネズミを捕っても食べることは余りないようです。

もし捕れれば飼い主に土産代わりに持ち帰りますが、これは雌ネコが子ネコにトレーニングのために持ち帰るのと同じことだと考えられています。

つまり、私たちは子ネコというわけです

 

賢いネコは太らない

 

エネルギーが不足しがちな人の社会においては、必要以上に食べられるということは力の現れです。

してその結果としての肥満はステータスシンボルであり、美しくさえ感じられる文化があるようです。

しかし日本のように食の足りている社会においては、意志の弱さやストレスの現れとして醜いとされます。

もっとも恰幅が良いという言葉もあり、太るということに少し前までの日本は今ほど嫌悪感はなかったようです。

もっとも恰幅が良いのと肥満との境はあやふやなもので主観の問題でしかありませんが。

人の子供には厳しく肥満をいさめ栄養に配慮していても、ペットとなるとどちらかといえば甘くなってしまいます。

特にネコについて肥満を心配しながら子ネコの時から食事管理をする人はいません。

しかもペットの中でもとくにネコには丸いイメージがあり、それが魅力でもあるので、やせたネコ、四角いネコというのはあまり可愛くありません。

赤ちゃんを始め、幼い動物が丸く太って見えるのは、可愛く見せる戦略だという説があります。

納得のいく説で、ペットもやはり丸く太っているほうが可愛く見えるものです。

人の心の中にペットの肥満を起こさせる原因があるともいえます。

ネコではそれほど目立ちませんが、太った飼い主のイヌは肥満になりやすいという傾向が指摘されています。

肥満の人は自分自身、食べるのが大好きで、また人が食べているのを見るのも好きです。

自分が食べたいと同じように、人もイヌも食べたいと思い込むのは当然のことです。

食べるのが好きでペットを飼う人がいても不思議ではありません。

ペットを飼う心理の一つに、世話をしていい気持ちになりたいというのがあります。

この気持ちが人がペットと暮らす理由の一つであり、子供を育てる動機と共通の心理があります。

しかし丸いネコを飼い主が希望したとしても、ネコがイヌより肥満になりにくい理由は、ネコは飼い主の喜ぶ顔を見たいとあまり思わないところにあります。

イヌは飼い主から与えられた食べ物を食べると、飼い主が喜ぶということを知っている。

サービス精神の強いイヌは飼い主の喜ぶ顔を見るため必要以上のカロリーを摂取してしまいます。

それに比べネコは無愛想で、人の喜ぶ顔を見るために食べ過ぎるなんて信じられないらしいのです。

集団で狩りをするイヌには、捕った獲物を公平に分けるなんていう嘘っぽいヒューマニズムはありません。

順位が上のイヌの目を盗み、早くたくさん食べることがイヌの習性になっています。

動物は必要とするエネルギー、ナトリウム、水は自分で求めます。

水とエネルギーは必要以上に摂らないのが原則で、カロリーの高いものを食べた時は食べる量を減らします。

食べる量、摂取エネルギー量はネコに任せて問題はありません。

しかし、この生まれつき身についた能力もときには狂ってしまうことが あります。

その一番の理由は避妊手術で、特にネコでは雌の方が肥満になりやすいようです。

人に見られる中年過ぎからの肥満は、日本のネコではあまりいません。

日本のネコは老ネコになると痩せる傾向にあります。

 

ネコに似合わない食べ物

 

ネコは女性にたとえられ、イヌは男にたとえられますが、実際行動や賢さからはこのたとえは当たっているようです。

しかし食べ物に限れば女性とネコの好みは合わないようで、女性の好物と言われるイモ、タコ、ナンキンはネコは好きではありません。

食べられる時にたくさん食べ 純肉食のネコはイモの仲間はまず食べません。

ネコはノリが案外好きですから食べたとしても、ノリのついたポテトチップくらいでしょうか。

ナンキンはカボチャのことですから、パンプキンパイにしたところで特に好きではありません。

カボチャの仲間のズッキーニも日本のネコは食べないでしょう。

もっとも世界中のネコが食べないかというと、ラタトゥイユという野菜のゴッタ煮を常食としているギリシャでは食べるかもしれません。

その中にイカでも入れてあれば可能性は充分です。

 

ネコに危険な植物

 

アイリス
アザレア
スズラン
セイヨウキョウチクトウ
チューリップ
チョウセンアサガオ
ツツジ
デフェンバキア
チューリップ
アジサイ
アマチャ
アマリリス
アザレア
アロエ
イチイ
イヌホウズキ
イラクサ
インドゴムノキ
カラジウム
キンポウゲ
フィロデンドロン
クサツゲ
月桂樹
ケマンソウ
ジギタリス
(キツネノテブクロ)
ジャガイモ(花、葉、茎)
シャクナゲ
スイセン
シャクナゲ
ヒエンソウ
ヒヤシンス
フィロデンドロン
ラッパスイセン
ロベリア
ヤドリギ
スイセン

*危険な植物をすべて網羅しているわけではありません。
不審な点は専門家にたずねてください。

 

イカはネコの大好物ですが、あげてはいけない物の代表で、昔からイカを食べると腰を抜かすと言われています。

これは急性ビタミンB1欠乏症を起こすためで、イカの中にビタミンB1を破壊するカルボシキナーゼが含まれているためです。

カルボシキナーゼは酵素ですから熱に弱く、加熱すれば問題はありません。

イカは栄養成分的には特徴のある食べ物で大変な高コレステロール食です。

ところが生物は大変うまくできていて、コレステロールに拮抗するタウリンというアミノ酸がたくさん含まれています。

ネコはコレステロール値が低い動物で、何かあるとすぐに低下してしまいます。

しかも、ネコにとってタウリンは大変大切なアミノ酸で、キャットフードには必ず添加されています。

イカとネコの栄養的関係はわかりませんが、何かネコが好きになる栄養的特徴があるのかも知れません。

日本ではあまり問題になりませんが、欧米ではネコが中毒を起こす観葉植物が問題になります。

最近は日本でも室内での植物栽培が盛んになっています。

有毒植物のリストを少し頭の中に入れておいてください。

 

気候と食欲

 

季節により必要カロリーが違いますし食欲にも差があります。

ネコは暑い国の生まれですが、 今の日本にいるネコはとっくに原産国エジプトの記憶もうすらいでいるようです。

もっともエジプトは確かに暑い国ですが、日陰に入れば湿度が低く過ごしやすいものです。

それに比べ日本の夏は湿度が高く亜熱帯と言ってもいいくらいの気候です。

ネコがいくら南の国生まれといっても日本の夏は快適とはいかないようで、涼しい場所を探しだらしなく寝ています。

もちろん夏やせするくらい食欲も落ちます。

冬は元気がないかといえばけっしてそうではありません。

冬が好きだと思われているイヌなんかでも、室内で暮らしているイヌたちはからっきし意気地がなく、冬は外出を嫌がり部屋の中で震えています。

雪の日などに無理に出されると嫌々足を下ろし、いかにも迷惑そうな顔をします。

それに比べると外出が好きなネコは、年をとっていないかぎり雪の日でも淡々と散歩に出かけます。

若いうちは降ってくる雪に飛びつくネコもいます。

 

ネコは人よりはるかに小さな動物ですから、当然のことですが気温の影響を大きく受けます。

ネコの体温は健康でも38℃から39℃前後と結構幅があり、人ほど一定に保っていません。

気温が上がればそれなりに体温も上昇してしまい、夏の日の夕方などでは39℃を超えることも珍しくありません。

これは体温を調節する温熱中枢の発達が人より悪いためですが、気温の変化に関係なく体温を一定に保つことは大変なことです。

人は体温が1℃上昇しただけで気分が悪くなりますが、ネコは気温の変化に合わせ体温を少しだけ変化させます。

暑い日はそれに合わせて体温を1℃上昇させても苦痛ではありませんし、体温が上がった方が体は楽なようです。

ただ体温が39℃を超すとさすがに食欲は無くなるようで、夏の日の日中から夕方にかけては食べません。

当然体温維持も楽で、じっとしていますから消費エネルギーも少なく、あまり食べる必要がないのは人と同じです。

 

寒い冬は基礎代謝を維持するために体温を一定以上に維持する必要があります。

体温が上がらなければ筋肉を震わせ代謝活動を活発にします。

当然体温を維持するために通常より50%多いカロリーが要求されます。

普通のネコの必要カロリーが体重1㎏あたり80キロカロリーですから、冬は160キロカロリーが必要になります。

ここで注意したいのは、カロリー要求量が増えても胃の大きさは同じなので、急にたくさんは食べられないということ。

つまりカロリーの高い食物を食べなければいけません。

 

皆で食べれば食が進む

 

人は味もさることながら、その場の雰囲気でおいしく感じたり味がわからなかったりします。

野外料理は雰囲気が良いため、どんなに料理に失敗してもそれなりにおいしいと言われています。

おいしいという噂の店はやはりおいしく感じます。

人が食べる時に目からの視覚、匂いの嗅覚、舌の触覚と感覚を総動員するところは動物と何ら変わりがありません。

人の食べ方の特徴は感覚に加えて頭も使うことです。

おいしいと噂の店はやはりおいしく感じます。

見たことがなくても知識だけで食べてみようと思いますし、文字から味わうことも可能です。

ネコも感覚で味わいますが、味を楽しむという点では人に劣ります。

しかしネコだって当然雰囲気によっておいしく感じたりすることはあるようで、嬉しいことがあるとたくさん食べるような気がします。

動物にとって食べるという行為は生きていくための苛酷な行為ですから、楽しむ余裕はありません。

食べられる時に早く食べるのが基本で、子ネコの時などは、兄弟など競争相手がいれば先を争ってたくさん食べます。

しかし、もともと競争原理が行動にないネコの場合はすぐにゆったりとした食事になります。

食物の確保のむつかしい環境では、おいしさなんかは当然感じないでしょう。

しかし家庭で食事の確保しているネコは、結構好き嫌いがあるものです。

ではネコにとって何がおいしく感じるのでしょうか。

ネコの食事は香り、湿度、舌触り、食物中の栄養素の量、習慣が作用します。

味覚は幅広く言えば多くの要素がありますが、舌で感じる狭い味覚では、甘さはエネルギー、塩っぱさはミネラル、酸味は腐敗、苦さは毒を表すと言われています。

人やイヌは雑食で植物を食べますが、甘さをカロリーとするのは植物を食べる動物で、ネコは甘さを感じることはありません。

ネコはそれよりも動物性食物に含まれている成分の中に食欲刺激物質があるようです。

塩っぱさも食欲をそそるようですが、毒の味という苦味をそれほど忌避もしません。

ネコに苦い薬を飲ませても以外に受け付けてくれます。

酸っぱさについてはあまり経験がありませんが、刺すような刺激には弱いようです。

人の味覚のすごさは食べて危険な酸っぱさ苦さを楽しみに変えてしまったことです。

何事も少し危ないところに人は面白さを見出すのでしょうか。

視覚の味わいはネコはあまり強くないようで、人が食べているものは何であれ食べられると思い込んでいます。

視覚での選別は生きたままなら早くわかるのでしょうが、切り身になって原形が無くなれば苦手のようです。

人が食べている刺身をあげた後、刺身のつまをあげるととりあえず手を出します。

匂いも重要です。

ネコでも最終的な決定は匂いのようで鼻が効かなければ食べません。

好きな匂いはタンパク質や脂肪の匂いでしょう。

ネコで一番大切な味覚は実は舌の触覚です。

脂肪が14%くらいの舌触りが一番好きだと言われています。

人はもう一つ特別な味覚があります。

手からの触覚で手でも味わうことができます。

日本人からは、この味覚はなくなりましたが、日本から離れて手で料理を食べる時、新しいおいしさに気がつきます。

もちろんネコの手では味わうことはできないでしょう。

 

若いネコの食べ物は口に合わない

 

人は年が違えば食べ物の好みも違いますがネコではどうでしょうか。

ペットフードの世界ではフェースフードといって年齢により内容を変えていますが、これはあくまで栄養的な違いだけを考えています。

もっとも年齢的な生理的栄養要求量と年齢的好みは一致するようで、栄養要求量の高い活動的時期はハイカロリーな食べ物を求めます。

ネコでもそうなのかと言われるとちょっと困ってしまいます。

野生の状態では食物を選ぶなどというぜいたくは許されません。

ハンティングで捕った獲物の中で、カロリーの高い脂肪の多いところから食べるという考えもあります。

でもネコの主食であるネズミは小さく、臓器を選んで食べることなど不可能です。

たくさん食べるしか解決方法はありませんが、胃の大きさは決まっていてそう食べられるものではありません。

ネコは一度にたくさん食べると吐いてしまいます。

一度にたくさん食べるより回数を多くするのがネコ的解決方法です。

ネコが自立していれば、自分にあった食事時間と回数を決めます。

人がスポンサーの今のネコは、人に合わせて自分のライフスタイルを変えなくてはいけません。

そのスポンサーの生活が、日本ではあまりにも違います。

特に都会は眠らない街になっていて、ネコもそれに合わせて生活しています。

ネコは食べ物さえあればほとんど満足状態ですから、スポンサーがどのような生活をしようとかまいません。

 

それに合わせて、適当にほんの短い時間だけ相手をします。

それに比べればイヌは、人と妥協性が強いように見えても案外かたくなにイヌの生活を守ります。

イヌは朝、太陽と共に起きて散歩というのが正しい生活と信じて疑いません。

人と妥協して人の生活に溶けこんでいるように見えますが、たまたま人と生活スタイルが似ているだけです。

ネコのように適当に合わせるということがありません。

ネコは勝手きままなように見えますが、ネコの方が柔軟に対応します。

子ネコの時の体重1㎏あたりの必要カロリーは260キロカロリーです。

成ネコが70~90キロカロリーですから3、4倍のカロリーが要求されます。

かなり濃厚な食事にしたところで限度がありますから、やはり回数が増えるということになります。

ネコの年齢と食べ物の一番の問題は、中年以後のネコに腎臓の働きのまともなネコはいないということです。

4、5歳からを中年と考えると、腎臓に負担のない食生活を送らなければいけません。

常識的にはタンパク質と塩分の量を減らしますが、その前に診断を受けて食事指導を受けると良いでしょう。

キャットフードもドッグフードもシニアとか老ネコ用という形のフードが準備されています。

ネコはイヌより食事にこだわりの強い動物ですが、長年暮らすうちに好みも変わってきます。

魚を食べなかったネコが食べるようになったり、ドライしか食べなかったのに魚の缶詰を食べたりします。

いずれにしても健康なら食べ物が嫌だといって食べずに餓死するネコはいません。

ネコの好みにあまり振り回されないことです。

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