標準ネコのメニュー

 

ネコの暮らしぶりは、一緒に暮らしている人の生活様式の変化に大きく影響を受けているといえます。

従来ネコといえば、誰に気兼ねすることもなく自由に家の中と外を行き来きし、町内の自分のなわばりを見回ったり、ときには生きたご馳走を追いかけ回したりという調子でした。

このように広い範囲で生活していれば、自然と運動量も多くなるでしょう。

現代では集合住宅での飼育も増え、こういう場合、近所迷惑の心配や高層であることなどの理由からネコは家から一歩も出ることのない生活をおくっているケースもあります。

家の中でもエ夫をすれば運動はできるのですが、やはり狭い範囲での生活では運動量は少なくなるでしょう。

また、最近はいろいろな品種のネコが海外からも紹介され、日本でもその数を増やしています。

その中にはシャムネコのようなスマートなものから、ラグドールという体重10㎏近くまでなるものまで大きさの差もかなりあります。

このようにネコの生活が多様になれば、食事もそのネコの生活態度、運動量、体重などによって変えていくことが必要です。

体重3㎏の普通に運動している1歳以上の成ネコを標準ネコとして、その食事を紹介します。

これを目安として、それぞれのネコに合わせて調節してください。

そのネコにとってふさわしい食事かどうかの一つの基準として定期的に体重が増え続けるようであればカロリーが多過ぎるということです。

このように健康面でネコの食事を管理することは重要です。

だからといって私たちがネコと一緒に暮らす目的は豊かな生活をおくるためであって、ネコの厳しいお目付け役になって、いじめるためではありません。

ネコも豊かな食生活 (飽食ではなくて、毎日元気で食べ飽きないバランスのとれた食事)がおくれるように食事のメニューを工夫してみましょう。

 

ネコの1日に必要なエネルギー

 

標準的なネコが1日に必要とするエネルギーの目安について

体重3㎏の標準ネコの一日に必要なエネルギーは、

 

80キロカロリー/㎏ ✕ 3㎏=240キロカロリーです。

 

それぞれのネコの体重に合わせて計算してください。

さらに、そのネコの生活態度(運動量)を加味します。

活発に運動し、食欲旺盛なネコはやや多めの255キロカロリー、逆に運動量の少ないおとなしいネコは210キロカロリーを目安にして調節してみてください。

一般的にネコは太り過ぎになりにくい動物と言われています。

 

食事の量を自分で完璧に調節することができ、常に狩りのための万全のコンディションを維持しているといったところでしょうか。

このあたりがやや食べ物に意志の弱い人間の目に、ネコが美しく映る要因の一つかもしれません。

しかし、この神必的なイメージすらある美しいネコにも近頃は肥満が増えているようです。

獲物を捕るための万全のコンディションが必要なくなったのか、はたまた、ちょっとくらい太り気味の方が飼い主へのうけが良いのか、原因は判然としませんが、いずれにせよ肥満は健康によくありません。

そのときは与える食事の量でコントロールしてください。

 

ドライフードを中心としたメニュー作り

 

近頃では多くのスーパーマーケット、コンビニエンス・ストア、ホームセンター、ペットショップなどでキャットフードが販売されています。

このフードの中のドライタイプ(カリカリタイプ)を毎日のメニュー作りの中で使用すると、栄養面、保存性、経済性などで随分と手軽になります。

まず、総合栄養食と表示されているドライタイプのキャットフードを選びます(一般食、おやつなどの表示のものは栄養の偏りがある場合があります)。

これにはネコに必要な栄養素がすべて含まれているので、これをメニューの中心とすればとりあえず栄養面では安心できます。

また、ドライフードは一般に水分が10%以下と低いので、開封後も虫などが入らないように封をしておけば室温での保存も問題ありません(しかし1カ月以内には使い切るようにしましょう)。

経済性を考えると一般に販売されてい るドライフードは500 gが400円程度です。

標準ネコが一日に80g食べるとすると、それは64円程度になります。

ドライフードの代わりに魚や肉で賄うとなれば、かなり高額になるでしょう。

さらにドライフードを使う意味としては、その固さにあります。

 

本来ネコは生きた動物を狩り、その丈夫な皮膚 被毛を引き裂き、小さな骨などはかみ砕いて飲み込む動物です。

このことで歯や歯肉に刺激が加わり、これが歯石や歯周炎の予防につながるわけです。

人の食品には柔らかいものが多く、この点も固いドライフードを使う利点と言えます。

店頭では缶詰やレトルトパウチに入ったウエットタイプのキャットフードも多く売られています。

ウエットタイプは水分が多い(約8割程度)ので、水を飲むのが苦手なネコの水分補給に便利です。

しかし最近市販されているウエットフードの多くが、総合栄養食ではなく栄養に偏りのある一般食です。

ネコは喜んで食べてくれるのですが、これでは毎日の食事の中心にはできません(総合栄養食のウエットフードもあるので、買うときはラベル表示を読んで確認してください)。

もっと多くのメーカーが総合栄養食としての基準を満たしたウエットフードを作ってくれることを望みます。

市販されているキャットフードの中にはエネルギーを表示していないものもあります。

この場合、栄養成分がわかれば計算できますが、これがなかなか厄介です。

エネルギーの算出にはタンパク質、脂肪、糖質の量が必要です。

タンパク質と脂肪は表示の義務があるので、どの商品にも表記してあります。

しかしこれも例えば、タンパク質28%以上という書き方で29%なのか30%なのかわかりません。

糖質についてはほとんどの製品で表記されていません。

その場合、次の式で計算します。

 

(糖質:%)=100ー(水分:%)ー(タンパク質:%)ー(脂肪:%)ー(繊維:%)ー(灰分:%)

 

必要な各成分がわかったところで、次の式を用います。

 

エネルギー:キロカロリー/100g=(タンパク質:%)✕3.5+(脂肪:%)✕8.5+(糖質:%)✕3.5

 

いずれにせよ、各栄養成分が数%以上、あるいは数%以下という形でしか表記されていないので正確なところは計算できません。

この点だけでもエネルギー量を表示しているキャットフードをお勧めします。

 

以上のようにドライフードは使いやすいという利点はあるのですが、尿石症などの病気のときに獣医師から禁止されることもあります。

そのときは指示に従ってください。

 

ドライフードと合わせる食材

 

ネコに必要な栄養素として、タンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルなどが挙げられます。

この中で肉食のネコにとって特に重要なのが動物性のタンパク質と脂肪です。

数種類の動物性食材を摂ることで、これらの栄養素をバランス良く摂ることができます。

つまり、 中心となるドライフードから基本的な栄養を得て、それに数種類の動物性食材を加えることでさらにネコに重要なタンパク質、脂肪などのバランスが良くなるわけです。

したがって、例えばそのネコがいくら鰹節が好きだからと言って毎日毎日ドライフードに鰹節ばかりかけるのでは意味がなく、かえって栄養が偏ることになります。

肉、魚、卵、乳製品など動物性の食材を毎日の食事にドライフードと合わせて与えます。

このときに市販されているウエットタイプ のキャットフードを利用するのも良いでしょう。

魚の缶詰が最も多く売られており、その種類はマグロ、カツオから、タラ、ヒラメなどの白身魚、イワシのぶつ切りなどこさまざまです。

さらに肉の缶詰にはビーフ、チキンなどがあります。

これらのウエットタイプのキャットフードは保存に便利で、しかもネコが1日に食べる程度の量で売られているので無駄が出ないのが利点です。

人間用の魚の缶詰は、味付けの塩分が強すぎたり、オイル漬けのものが多くあります。

これらを与えるのは避けたほうがよいでしょう。

総合栄養食のウエットフードなら、さらに安心です。

肉や魚などの動物性食材を合わせる場合はドライフードの量を減らし、その代わりにご飯や野菜を与えるのも良いでしょう。

ネコは穀類や野菜を消化するのが得意ではないのですが、充分加熱して消化しやすくして与えれば大丈夫です。

特に麺類、豆、いもなどの澱粉を多く含むものは加熱が足りないと下痢の原因になります。

 

こういった具合にいろいろな食材を組み合わせることでネコの食生活は豊かになります。

これは、ネコが毎日おいしい食事ができるだけでなく、偏食がなくなり、健康な体調を維持できるという意味です。

ネコもきっとそんな食事を望んでいると思います。

標準ネコの必要エネルギーが体重1㎏あたり80キロカロリーというのは実は大変使いやすい数字で、女子栄養大学で推薦している点数によるカロリー計算と偶然一致するのです。

これは食物をいくつかのグループに分け、1点80キロカロリーとして、成人ならば1日20点を各グループから摂る方法です。

この大学で編集しているカロリーブックは、80キロカロリーあたりの食物の量とその目安をすでに計算しているので、利用すると大変便利です。

もちろん人とネコは違いますので、グループから1点ずつという考え方は使えません。

このカロリーブックからネコに使えそうなものを選び出し表を作りました。

この中からいくつかを組み合わせてドライフードを中心としたメニューを作ってみてください。

肉や魚の切り身を使う場合は、カルシウムが不足気味なので、煮干しやチーズなどを組み合わせると良いでしょう。