私が手づくり食に変えたわけ

にゃんこ先生
「こまってた飼い主さん」は、そもそも手づくり食にされたきっかけは何だったんですか。
こまってた飼い主さん
コテッが家にやってきて以来、ずーっとカリカリ (ドライフード)を食べさせてきたんですね。
ところがある日、私がカリカリを入れたビンを、バーンと床に落として、ビンを粉々にしてしまったから、全部まとめて掃除機で吸ったのです。
そしたら、次の日、掃除機から出てくる排気があまりにも臭くて.…。そのカリカリのにおいをかいでるうちに、これを毎日毎日ネコに食べさせてる私は何なんやろ、と思って.……。
私、2歳のおばあちゃんネコの日記のホームページを、毎日愉しみに読んでいたんですが、そのおばあちゃんネコが肝臓病になったとき、飼い主はまずカリカリを変えたんですね。
別のブランドのカリカリを紹介していて、そのとき初めて、カリカリにも種類がたくさんあることを私は知ったんです。
それで、近所の友だちで、イヌを2頭飼っている谷口さんという人に電話して、いきさつを話したら、彼女は1年前から「手づくり食」にしてるというんです。
にゃんこ先生
きっかけはにおいなんですね。
こまってた飼い主さん
そうです。
いつもは、ビンのふたを開けて、パッとお皿にあけてすぐ閉めてたから、においに気づかなかったんです。
でも、掃除機から出たあの強烈なにおいをかぐと、もう、ダメだと。
にゃんこ先生
最初の手づくりはどうでしたか。
こまってた飼い主さん
こちらが突然変えたからって、食べてくれるわけないんですよね。
コテッ、後ずさり。
この世のものじゃないみたいな顔されて…。
仕方がないから、カリカリをまたやりました。
紹介されていた別のカリカリを頼んで、ちょっとずつ混ぜて変えていくようにしようと思って。
私、別にカリカリを動物病院ですすめられたわけでもないんですけど、なんとなくいいものなんだという先入観があったのですね。
どこでも売ってるから、きっといいんだと思い込んでいた。
でも、新しく買ったカリカリも、前と同じにおいがするんです。
それで、メーカーへメールで問い合わせたんです。
「なんであんなにきついにおいをつけるのか」って。
そしたら、「それは食いつきをよくするためです」と。
なんばいいものつくっても、食べてくれへんかったらだめなので、ビーフジャーキーや何かの粉末を最後の行程で振りかけて、そのにおいで食べるようにしているそうなんです。
確かに、入れたら入れただけ、異常に食べるんですよ。
ちょっと恐いと思うくらい。
にゃんこ先生
ネコは子どもの頃に食べたもののにおいを覚えていて、自分の体調に合わせて、どのにおいのものが、今自分に必要なのかを判断するらしいんですよ。
だから、においが非常に重要なんですね。
そういうわけで、フード会社さんはにおいをかなり研究しておられるのだと思います。
「うちの子はカリカリをお湯でふやかすと食べないんですよ」と飼い主さんからよく聞くのですが、それは表面のにおいがお湯で流れてしまうからかもしれませんね。
こまってた飼い主さん
淡路島で拾ってきたネコだからか、コテッは魚がむちゃくちゃ好きなんですよ。
肉より魚。
でも魚ばっかりやってても、ねえ。
鶏肉には、タウリンとかが入ってたりするんでしょ。
にゃんこ先生
いやいや、魚にだって入ってますよ。
こまってた飼い主さん
でも、あんまり魚も続いたらいけないかなぁと思って。
にゃんこ先生
魚を食べるときは、ビタミンEを定期的に摂取していれば、黄色脂肪症という病気を予防することができます。
あと、加熱することで、ビタミンB1欠乏症という病気も予防できるんです。

出なくなった目ヤニ
にゃんこ先生
手づくり食に変えてから、変化はありましたか。
こまってた飼い主さん
目ヤニが出なくなったんです。
もう、ビックリ!
毎日目ヤニが出るのが当たり前だったんです。
コテツの前にいたネコが、7歳のとき、ある日突然、心臓が止まって、死んでしまったんですよ。
何が原因かわからなかったのですが。
そんなことがあったから、コテッにはものすごく神経質になったんです。
コテッも前のネコも目ヤニが出て、毎朝、それをとるのが日課。
ところが食事を変えたら、2日目からビタッと止まった。
それに、毛並みが、陽にあたるとキラキラキラッて気持ちいいぐらいになってね。
でも、1カ月くらい経ったときに、毛がバサバサになったんですよ。
手づくりがちょっといい加減になってた時期でしたから、これは大変と、それからまた馬肉をやったり、うちの子は鶏肉の肝が大好きなんで、それも増やしてみると、また最近ふわふわでつやつやの毛に戻ったんです。
それとウンチ!
それまでは、コロンコロンとしたウサギのよりちょっと大きいくらいのサイズで、それが普通やと思ってたんです。
ところが、きっちり手づくりごはんを食べましたという2日目に、親指2本分の大きさのをしたんですよ。
もう、嬉しいー!
ともかく、大きいのをするようになりましたね。
それに、色が違う茶色かベージュ、真っ黒やったり、ツートンになってたり..…。
前は、「まあ、してるな」くらいにしか見てなかったのが、手づくりすればするほど、今日はどんな大きさやとか、どんな色かとかが気になり出しましたね。
それもやっぱり、ひとつの愛情ですしね。
にゃんこ先生
よく食べるようになりましたか?
こまってた飼い主さん
いや、必ずしも食べてくれるわけじゃない。
そこがネコなんですかね。
嫌なときは、絶対食べない。
でも、温めなおすとか、私がなんとか手にのせてやって……もう、王子様ですよ。
にゃんこ先生
よく、栄養バランスをとりましょうっていうじゃないですか。
でも、毎日電卓を叩くほど厳密に栄養バランスをとる必要はないですね。
理由はふたつあって、ひとつは、仮に一所懸命計算してつくったとしても、食べた食事に栄養素が含まれているということと、消化されて、吸収されることとは話が別です。
分析上含まれていたとしても、吸収されるかどうかは別で、しかも、個体差があるとなれば、考えるだけ時間がもったいない。
多頭飼いをしている方はわかると思うのですが、同じ食事を食べさせていても、太る子とやせていく子がいるわけです。
しかもどんどん食べているのにやせる子と太る子がいて、逆に、あまり食べないのに体重が変わらない子とやせていく子がいるのです。
そうすると、「ネコには…」とひと言でくくれないんですよね。
実際やってみてどうなるか、反応を見てから決めなければなりません。
もうひとつは、たとえば、人間でもガムシロップをがばがば入れてコーヒーを飲んでたら、太りますよね。
ということは、体の中で、糖は糖としても機能するけど、脂肪にも変わるんですよ。
要するに、体の中で栄養素は必要に応じて相互につくりかえられるんです。
脂肪から糖だけつくれない。
だけど、糖を補っておけばいいわけですから。
そうすると、栄養バランスって、そんなに深刻に考えなければならないでしょうか?
こまってた飼い主さん
……必要ないん?
にゃんこ先生
そうなんです。
栄養バランスは、世の中でいわれているほど、気にする必要ないんですよ。
ただし、合成できないものがあるわけです。
必須アミノ酸とか、必須脂肪酸というもので、それは食事からとらなければならない。
だから、あんまりむずかしく考える必要はないんです。
フードの栄養満点のインスタントな食品をずーっととっていると、それに慣れてるから、栄養素を合成するサイクルが働いてないわけですよ。
普段運動してないのに、急に走れといわれたみたいになって。
しかも手づくり食にすると、やせる子がいる。
それに驚いて、飼い主さんが……。
こまってた飼い主さん
フードに戻しちゃう!
手づくりにしたら、やせた~って。
にゃんこ先生
手づくり食にしたら、イヌもネコもだいたいがぐっとスリムになるんです。
こまってた飼い主さん
見ました!
すっごく太ったダックスが、3匹ともすっごいスリムになって!
コテッは、半年前に去勢手術をしたのですけど、それから全然体重が変わってないんですよ。
少し増えても、ちょうどいいところで止まる。
見た目の体形は、バッチリしてきてます。
にゃんこ先生
締まってるんでしょうね。
ペットはこうあるべきというムード
にゃんこ先生
うちの実家にいるネコの大好物が、具たくさんの味噌汁。
ウニャウニャいって、食べてますよ。
こまってた飼い主さん
それって、人間の食べてる味噌汁ですか?
そうです。
メロンが好きだし、キャベツも食べる。
いろいろなんですよね。
こまってた飼い主さん
その子がおいしいと思うものを食べられればいいんですよね。
でも、肉は火を通したほうがいいんですか?生のほうがいい?
にゃんこ先生
加熱するかしないかで重要だといわれているのは、消化酵素やビタミンが生だととれるか、というところですよね。
でも、酵素って、かなり温度管理が重要で、一度凍らせて解凍したらアウトなんですね。
だから、皆さんがおっしゃるほど重要なのかなあ、と思うんですよ。
もし仮に酵素があったとしても、酵素はタンパク質ですから、胃液で分解されると思うんです。
すると、消化の中心的な役割は果たせない。
ビタミンについては、細胞の外にあるビタミンで熱に弱いものは壊れてしまうかもしれませんが、細胞の中にあったビタミンが、細胞が壊れることで外に出てくるので、かえって加熱したほうがビタミンの吸収がいいという報告もあるんです。
よく、自然界の動物は生の肉を食べるという人たちがいますが、それをいうなら、自然界の動物は、他人がさばいて、一度冷凍して、解凍した肉は食べないですよね。
そんなこといい出したらきりないわけで、そこまでこだわるなら、たとえば爬虫類を飼っている人は、生きたコオロギやマウスを別に飼育して、生き餌をごはんにしていますが、そこまでネコにするかってことになるわけです。
要するに、飼い主さんが納得できて、元気に生きていたら、それでよしとしていいんじゃないでしょうか。
市販のフードだって便利ですしね。
正しい、間違っているというのではなく、うちの子には合う、合わないで考えればいいと思うんです。
で、合わなかったら別なことを考えればいいのですから。
こまってた飼い主さん
ほんとに、ベットをとり巻く、あれがダメ、これがダメという、いまのあの空気は絶対よくないと思う。
手づくり食に関しては、やっぱり不安なんやと思う、みんな。
私、いつも思うけど、これを食べさせて、後悔しないかどうかが、最終判断なんですよ。
これでもし死んだらどうしようとか。
これでやってって、死んだら死んだで、やるだけのことはやった、これで天命やと、思いたいですよね。

大切なのは水と酸素!
にゃんこ先生
実際、フードに水分をかけてやると、皮膚病がよくなったり、ノミやダニがつかなくなるケースは多いですね。
こまってた飼い主さん
フードにかけるって?
にゃんこ先生
カリカリに。
手づくりできないっていわれる方には、じゃあ、スープをかけてみたらどうですかとすすめるんです。
それで、ノミやダニがつかなくなったり、皮膚病が治ったりするんですよ。
こまってた飼い主さん
えーっ!
水で代謝がよくなるんだ
にゃんこ先生
一番大事なのは栄養成分ではないことがある、ということなんです。
むしろ、水分が不足してる場合が圧倒的に多いんです。
こまってた飼い主さん
ええーっ!
目ウロコですね。
にゃんこ先生
こんなこといったら、みんなの脳みそがガラッと変わるじゃないですか。
こまってた飼い主さん
私、今までずっと、ネコのごはんをみじん切りしていたんですよ。
それが面倒くさくなって、ミキサーを使うようになって、食べものだけじゃ回らないから、水をジャーッと入れて、ビューンと回して……そのしゃぶしゃぶ状態を温めて、そこに肉とか魚を入れると、調子のいいときは、全部飲んでくれるんですよ。
それから、毛並みがつるつるに戻ってきて……なんと、水がよかったんですね!
そういえば、一度、知人にすすめられたカ リカリを頼んだときに、自分で食べてみたんですよ。
1個食べたら、もう口の中の水分が全部吸いとられて、ぱさぱさになって。
これは、のどがかわくと思った。
にゃんこ先生
ほんとにその子その子で、何を食べるかは全然違うんですね。
相手は生き物ですから、理論も大切だけど実際にやってみてどういう結果が出るかのほうが重要ですよ。
正解はないんですね。
結局、酸素と水分が一番大事で、室内に閉じ込めて、運動もろくにさせていないとか、水も飲まないから飲ませていないという状態で、栄養バランスを論じても仕方がないということです。
3大栄養素(糖質、脂質、タンパク質)は、体内で必要に応じて相互につくり変えられることはわかっています。
必須アミノ酸や必須脂肪酸という体内で合成できない栄養は、肉・魚と植物油をとっていれば、不足するということはあまり考えられません。
ビタミンやミネラルも、食材を選べばなんとかなるし、それでも不安ならサプリメントがあるから大丈夫だと確信できているんです。
こまってた飼い主さん
うーん、要するに、あんまり神経質に考えんようにして、その子の好きなものをあげていればいいんですね。
須﨑
ほんとに、適当にやるのが一番です。

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